ノイズキャンセリング技術によって実現した『デジタル耳せん』(キングジム)

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通勤中の電車やバスの中、部屋に居るときの外からの騒音など、「うるさいなぁ」と思ったことがある人は多いはず。そんなとき、誰もが考えるのが昔からある「耳せん」だ。ただ今は何でもデジタル化の時代。耳せんもこのほどデジタルになって生まれ変わっている。その一つが、『デジタル耳せん』(キングジム)だ。

一見イヤホンみたいな商品を耳にはめると、ノイズキャンセリング技術によって、乗り物内の騒音やエアコンの空調音など300Hz以下の騒音を約90%カットしてくれるという。他方、人の呼びかけ声やアナウンスなどはしっかりと聞き取ることができるそうだ。また、イヤホンコードを本体に巻き付けて収納できるので持ち運びがしやすい。単4形アルカリ乾電池1本で約100時間の使用が可能。

ノイズキャンセリングの仕組みはどうなっているのだろう。そもそもノイズキャンセリングは、長時間騒音にさらされる飛行機のパイロットを考えて生み出された技術。いまは一般向けに販売されているが、ご存じない方もいるのでは。簡単に説明すると、「イヤホンに内蔵された小型のマイクで周囲の騒音を収音し、マイクで拾った騒音とは逆位相(逆向き)の音波を発生させて、騒音を相殺する」こと。平たく言えば、音を音で消すような仕組みなのだ。

キングジムに耳せんにフォーカスした理由を聞いた。
「“デジタル耳せん”という新しいカテゴリーを創ることにこだわりました。この商品を企画するにあたり、ノイズキャンセリング(以下NC)技術は『ごく一部の人にしか知られていないのでは?』という仮説を立てました」
「同仮説にもとづいて、NCという既存技術に対し、“耳せん”という一般的にわかりやすい名称を付けることで幅広い層の方々に、『こんな便利なものがあったんだ!』と知ってもらいたい思いで開発したのです」

さらに、デザインにもちょっとしたこだわりがあるという。
「イヤホンが付いていることから、市販のNCイヤホンやデジタル・オーディオ・プレーヤーを連想させる可能性があったので、本体やパッケージのデザインはできるだけ文具、雑貨的な印象を与えるものにしました 」

これはなるほど「ザ・雑学」。言われてみると確かに文具っぽい外見だ。オーディオ的な感じはしない。では、肝心のNC効果を発揮するシチュエーションは?

「NC自体がもともと飛行機での使用を想定して生まれた技術なので、やはり飛行機の機内では抜群の効果を発揮します。音楽を聞かないで、ただ静かに眠りたいという方にピッタリです」
「また、勉強したいのにエアコンなどの空調音が気になるといった日常的なシーンでも、効果を発揮します。音楽を聴きながらだと、歌詞に引きずられてかえって集中できないという方にも、オススメです」

従来の耳せんと違い、呼びかけられても声はちゃんと聞こえるのもいい。 そう言えば、自宅のパソコンの冷却ファン音がうるさくて集中できないことがあるなぁ。これにもNCが効果を発揮しそうだ。

静かなときを過ごしたいあなた、新しい耳栓で、そんな心地良い静かさを味わってみては。
(羽石竜示)