『せかいせいふく』裏表紙にどんなヒエラルキーを書く?

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普通に買い物をしていたら、目に飛び込んできた『せかいせいふく』学習帳の文字。その横には『もうそう(妄想)』学習帳や『れんあい(恋愛)』学習帳もある。これは一体どういうことなのか? 何かをたくらんでいる組織の仕業なのか? よく見ると『おとなの社会学習帳』と書かれてあった。われわれは早速、このノートを考えた張本人を見つけ出し、話を伺うことにした。

『おとなの社会学習帳』シリーズを企画したのは、『ヴィレッジヴァンガード』妄想商品企画部(商品本部)の山田珠莉さん。

日本中から「やっぱり、ヴィレヴァンの企画か」という声が聞こえてきそうだが、山田さんが大人用の学習帳にまつわる妄想をコラムで掲載したところ、Twitterでの反応もよく、商品化することが決定。

山田さんは、「悪巧みは一切してません。子ども用の学習帳があるのなら、大人用の学習帳があってもいいんじゃないかと思って」と語る。

「子どもの頃は勉強が苦手だったけど、大人になってから、ふと『なんで今まで勉強してこなかったんだろう。学習って、良いことだよな』と思うようになりまして。社会人になってからも勉強することは多いけど、全てを『学習』だと思えば、肯定できるんじゃないかと思ったんです」

なんて前向きなんだ!

見事に「学習帳デビュー」を果たしたのは、『ゆううつ(憂鬱)』『もうそう(妄想)』『しごと(仕事)』『せかいせいふく(世界征服)』『れんあい(恋愛)』『たいせつ(大切)』『ふういん(封印)』『さくせん(作戦)』のノートの8種類。

――表紙からしてインパクトがありますが、中でも評判の良いノートはどれですか?

「『もうそう』と『せかいせいふく』です。『もうそう』の裏表紙には、『もしも○○が○○だったら』という妄想を書き込むことができます」

中身は白紙なので、頭の中に広がっているさまざまな妄想を書き放題。真面目な妄想も、真面目ではない妄想も、純粋なことも、エロいことも、いろいろと書こうじゃないか。

「『れんあい』は、女の子向けのバージョンもあったらいいなと思って制作しました。大人になっても恋愛は難しいし、まさに『学習』だなと思いまして。一番幸せな時のことを書いておいて、ケンカした時に苦笑いしながら読むといった使い方もできるんじゃないかと思います!」

なるほど! 最近は、恋愛を諦めている人もいるくらいなので、それはもはや「学習放棄」みたいなものなのかもしれない。とはいえ、自分も人のことは言えませんが。(※著者は独身)

「個人的におすすめなのは『ふういん』です。どうしても思い出したくない失敗とか、嫌なことを書いて、そのままどこかに封印もしくは処分しちゃうのが良いかと」

う〜ん。ひょっとして、山田さんも何かのストレスがかなりたまっているのでは。ちなみに『ふういん』の表紙写真はブラックホール。いろいろなストレスを、ブラックホールの彼方(かなた)にサヨナラしてしまおうということだ。

「『せかいせいふく』は、裏表紙にヒエラルキーを書くようになっています。あるお父さんが、息子さんに『せかいせいふく』のノートを買ってあげたら、息子さんが家族のヒエラルキーを書いたらしく、お母さんが上位で、お父さんが下位だったのでションボリしたという話も聞きました」

紅白は白組が勝ったというのに、現実のお父さん組(父組)は厳しい。中身は余白なので、世の中を制覇するための作戦を書き込みたいものだ。

●山田さんはいろいろな意味でエリートだった

さて、このノートを企画した山田さんはどんな人なのだろうか。山田さんは『ヴィレッジヴァンガード』が生まれた名古屋出身。高校を卒業後、名古屋にあるお店で働き、なんと20歳で店長に!

「広島県にある福山のお店では、店長として働きました。その後、長崎に赴き、現在は本社で働いております」

いつかは、面白い商品を作りたいという欲求がものすごく強く、ひたすらがむしゃらに働いていたそうだ。山田さんは、美術を専門に学んだことがあるわけではないが、イラストは味があって思わず見てしまう。(山田さんが描いている『妄想商品企画部』を参照)

そんな山田さんに、まだ商品化されてないけど、いつかはこれを商品化したいというものがあるか聞いてみた。

「大人向けのサイン帳を作りたいです。小学校の卒業まぎわになると、クラスの女子がみんなで書いていたアレの大人版です。LINEやブログでプロフィールを書くのもいいけど、現物があるともっとうれしいと思うのです。住所すら知らない人も多くて、結婚式とかでみんなで書きあえるような、狭くて深いサイン帳ができたらと思ってます」

いかにも「ヴィレッジヴァンガード」っぽいサイン帳が販売される日も近いかもしれない。

『おとなの社会学習帳』は「ヴィレッジヴァンガード」(店舗・通販)で販売中。これも「ヴィレッジヴァンガード」が「せかいせいふく」するための「たいせつ」な「さくせん」なのだ。万が一売れなかったら、会社のことが好きで、いうなれば会社に「れんあい」している山田さんの「しごと」は「ゆううつ」になり、実績が「ふういん」されてしまうのだ。歓送迎会やパーティーの景品用として買っていく人も多いそうなので、山田さんもひと安心。
(エキサイトニュース コネタ編集部)