西アフリカ・マリ共和国の人たちが取り組むコメ作りの風景

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例年、バレンタインデーのシーズン、どうしても女子は気を遣って義理チョコを職場の人たちに配るわけだが、「それって無駄では?」と疑問を呈し、その代わりに毎年チャリティ募金をしている会社がある。1993年から今年で22年目を迎えるという。その会社とは…。

それは、共栄火災海上保険。女性社員を中心とする34人のメンバーで、「“義理チョコ、あげたつもり・もらったつもり”バレンタイン・チャリティ募金」を行なっている。きっかけはというと、義理チョコにかかる費用について調査したこと。その結果、平均4000〜5000円。このお金をもっと有意義な目的に使えないかと考え、義理チョコの配布やホワイトデーのお返しの代わりに、一口500円をチャリティとして募金しようということになったそうだ。

その募金は、NGO「マザーランド・アカデミー・インターナショナル」を通して、西アフリカ・マリ共和国の難民キャンプへの支援活動資金として寄付されている。これまで21年の募金の総額は2981万円。井戸、くすりハウス(医薬品保管庫兼学習所)の建設、医薬品の援助、植林などに活用されているそうだ。その中で、「田んぼ作ろう!プロジェクト」も実施している。
ところで、例年、何名くらいの社員が募金するのか。また、募金額を増やすためにどのような活動をしているのか。
「2400人程度が協力してくれているのではないかと推測しています。当社社員や関連会社社員の約8割に相当します」
「ボランティア推進チームが朝出社する社員にチャリティに参加してもらえるよう、従業員通用口で協力を呼びかけるなどしています」
「また、マザーランド・アカデミーにマリ共和国の難民キャンプの現状について直接話を聞き、その厳しい現状を全社員に知ってもらえるよう情報発信に努めています」

バレンタイン・チャリティ募金を実施して以来、チョコやチョコ返しの社内での習慣はかなり減少したか。
「本チャリティは“過剰な社内の義理チョコの一部を自粛して”という趣旨でしたが、現在では義理チョコのやり取りは見たことがありません。ちなみに、私は2004年8月に中途で共栄火災に入社しましたが、以来一度もチョコをもらったことがありません」
なるほど、かなり効果があったわけだ。

で、肝心の「田んぼ作ろう!プロジェクト」について、現地の稲作の取り組みの現状は?
「水田作りを通じて子供たちが自ら食べもの作りを学び、作った米をさらに貧しい人々に分け与えることで命の大切さや平等について学んでほしいと実施している事業です。当社はこの趣旨に賛同して本事業に募金を活用してもらうようお願いしています」
「毎年NGOから写真を提供いただきますが、そこに映っているのは、まるで日本の田園風景かと思うほどの見事な水田で、そこで苗を植えたり、稲を収穫する子供たちの笑顔を見ると、大きな成果を出せていると実感します」

義理チョコ代がこんな成果を生むとは意外である。今後もたくさん募金を増やして、西アフリカに水田をたくさんつくってもらいたい!
(羽石竜示)