ラモス瑠偉 (撮影:フォート・キシモト)

写真拡大

Jリーグ発足時に提唱された高尚な理念が間違って解釈されているのではないか。ラモス瑠偉が指摘する事実に反論できる人物はいるのか?!】

秋はサッカー界にとって厳しい季節だ。この時期になると、いろいろなJリーグのチームが危機に陥る。古くは鳥栖フューチャーズがなくなってサガン鳥栖になったし、横浜フリューゲルスも吸収されて横浜F・マリノスになってしまった。そして今年は福岡が資金ショートを発表し、岐阜も苦しいと話題になっている。

Jリーグができて、「100年構想」が掲げられた。「100年構想」は本来、日本全国に芝の広場やスポーツ施設を作り、スポーツクラブができて、世代を超えたふれあいの輪を作ろうというものだった。

企業がサポートするよりも地域密着が重要だとされ、そしてJリーグのクラブ数がどんどん増え、Jリーガーの数が増えていった。まるで「100年構想」は全国各地にJリーグのクラブを作るという解釈になってしまったように思えるよ。

そうして何が起きたか。僕がJリーグができる前にもらっていた年俸を、今もらっている選手がどれくらいいるだろうか。それくらい選手の年俸は下がった。トップリーグでプレーしている選手の年俸でも夢がなくなってしまっていないだろうか。そして地域に密着したのに、どうしてこんなに財政基盤が弱いのだろうか。

Jリーグの価値を上げるためには、それぞれのディヴィジョンがもっと厳しい戦いをしていないとダメだと思う。残留が目標のチームと戦うより、どちらも優勝を争っているチーム同士の試合のほうが面白いに決まっている。そのためには各ディヴィジョンのチーム数を減らしていいじゃないか。

どのチームも優勝・昇格か残留争いに加わるほうがエキサイティングなはずだよ。J1で目標なく最後の数試合を終えるよりも、J2で昇格争いをしているほうが、見ている人には面白いんじゃないかな。

そして厳しい戦いが続くようになれば、いい選手を補強せざるを得なくなる。すると獲得する外国籍選手の質も上がってくるはずだ。質の高い外国籍選手と日頃から対戦するのは、日本代表のレベルを上げるのにも重要なはずだよ。

プロリーグができて、選手が貧乏になっちゃ仕方がない。リーグの価値が落ちてはいけないんだ。それでは構想が100年持たないね。