神村学園vs日章学園

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神村学園・仲山 晃輝

「10点目が大きかった」神村学園

 神村学園13安打、日章学園16安打、両チーム合わせて29安打の打撃戦を制し、神村学園が4強入りを果たした。

 初戦に続いて持ち味の打力で打ち勝ったが、小田大介監督は「10点目をスクイズで取れたことが大きかった」と振り返る。

 9対6と3点差で迎えた7回、一死一三塁と追加点の好機を作る。代打・杉内 大輝(2年)に小田監督はエンドランのサインを送るも2球ファール。2ボール2ストライクとなって、小田監督はサインをスクイズに切り替える。あわよくば大量点を狙った積極策から、1点を確実に取りにいく「安全策」への大胆な戦術変更だった。「中等部から見ており、決めてくれると思っていた」小田監督の信頼に、杉内は見事に応えてスクイズを決めた。

 その裏から登板した2番手・大村 将(2年)は、無死一二塁とピンチを背負うも無失点で切り抜け、残り2イニングも0で抑えた。「4点差あった分、大村も大胆に攻められたと思う。3点差だったらどうなるか分からなかった」と小田監督は10点目の意味を語った。

 初回に1番・仲山 晃輝主将(2年)のレフトフェンス直撃の三塁打を皮切りに連打を浴びせ、初回、2回で4点を幸先よく先取した。序盤は上々の立ち上がりだったが、走塁ミスで攻撃のリズムが悪くなり、逆に四死球でたまった走者をタイムリーで返され、中盤は点の取り合いだった。その悪い流れを断ち切った意味でも10点目を確実に取れたことが大きかった。

 失点が多いのは気になるところだが、小田監督は「追いつかれることなくリードを保ち、粘り強く野球がやれた」ことを評価する。センバツ内定ラインの4強入りは勝ち取ったが「あくまでも通過点。目標は九州制覇」と浮かれる様子はない。準決勝の対戦相手・美里工(沖縄)は、2試合をいずれも1対0で勝ち上がっており、2本柱の好投手を擁する。「打力、守備力も高く力のあるチーム。無駄な失点を減らし、うちの打撃がどれぐらい通じるか」を決勝進出のカギに挙げていた。

(文:政 純一郎、写真:當山 雅通)