投打の主軸が活躍・神村学園

完封勝利の東(神村学園)

 エース東 務大(2年)が5安打完封。打線は5回の集中打。投打の主軸が活躍し、シード神村学園が鹿児島城西との「南薩対決」に完封勝ちだった。

4回まで鹿児島城西のエース赤塚 慶樹(2年)の変化球を見極めきれず無安打に抑えられた。「追い込まれるまではしっかり見逃していたのに、勝負球のボールになる変化球を、簡単に手を出して空振りしていた」と小田大介監督。それが5回は一転して、7番・野崎 大成(2年)の初安打がタイムリーになると、打者10人、6安打を集中して一挙6点を奪った。相手が変化球勝負から直球勝負に切り替えることを読んで畳み掛けた見事な集中打だった。

 1番・仲山 晃樹主将(2年)は、豪快な2ランをレフトスタンドに叩き込んだ。9月の練習中に左手の甲を骨折。ギブスがとれたのが、大会に入ってからだった。まだ完治はしていないが「チームに迷惑をかけた分、自分の打撃で恩返ししたかった」気持ちを打席に込めた。

引手の左手はまだ力が十分入りきらないが、「ケガをした間に鍛えていた右手の押し込み」でスタンドまで持っていった。4番・山本 卓弥(1年)の2点タイムリーは、初球の変化球に体勢を崩されながらも、しっかりとバットに乗せてライト前に運んでおり、非凡な打撃センスを感じさせた。

 エース東は直球主体で追い込み、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォーク、シュートと多彩な変化球を勝負球にして、鹿児島城西打線に狙い球を絞らせなかった。

守備も無失策で切り抜けており、攻守で圧倒した内容だったが、試合後、小田監督がナインを集めて語ったのは「こんな試合をやっているようでは上では通用しない」という厳しい指摘だった。集中打で6点を奪ったのは良かったが、6回以降は2番手の島元 一樹(2年)を打ちあぐね追加点が奪えなかった。いとも簡単にフライを打ち上げ、凡打で終わってしまっていた。記録上ミスはなかったが、大量リードしたことでベンチの雰囲気もどこか緩んでいたことが小田監督は気になった。「もう1点、もっとガムシャラに、泥臭く取りにいく姿勢を見せて欲しい」結果以上に内容にこだわるのは「センバツに行って全国制覇する」(仲山主将)という高い目標があるからだ。無四球、5安打の完封をした東も「同じ打者に2度打たれたり、初球の入りが甘くなったところを打たれたのが良くなかった」と反省の弁を口にしていた。

(文=政 純一郎)