――序盤にパンチを受けた時は、どのような気持ちでしたか。

「心が折れましたね(笑)」

――いや、そのあとに逆襲しTKO勝ちしたのですから、折れていないじゃないですか(笑)」

「凄く痛かったんですよ。だから、折れてないとしても折れかけていました(笑)。本当に痛かったです。これは後付になってしまうんですが、ケージに入った時はやっぱり不安だったんです。勝負勘という部分でも冴えていなかったですし。

ただ、試合前のコールの時にバローニ選手がワンツーを打った瞬間に、『スピードがないな。これから貰っても大丈夫だ』って思えたんです。見えないパンチだと倒れてしまいますが、見えれば気持ちで耐えればいいと。あそこで自信を持てましたね」

――実はバローニがパブリック計量へ出る前に、ホテルのエントランスに立っているタイトな服を着た女性二人に腹筋を触らせたりして、余裕がありすぎたところを鈴木選手に見て欲しかったんです。あの様子を見ると、「この野郎」ってよりモチベーションがわくんじゃないかと思って(笑)。

「舐められていて当然だと思っていました。逆にいえば、僕と戦うこと自体、バローニ選手にとっては面白くないことでしょうし。錚々たる日本人選手に勝ってきた選手が、自分みたいな選手とやる必要があるのかって。自分のキャリアは、彼と比べるとまだまだなので、逆に打撃で来てくれるだろうと踏んでいました」

――侮っていてくれ、と。

「ハイ、僕の打撃なんて所詮なんでもない――という気持ちでいてくれればと。案の定、そうでした。以前にケツティス・スミルノヴァス選手と戦った時(※2007年6月10日)もそうだったんですが、彼らが最初から組んできていれば僕はもっと疲弊していたし、勝機は彼らの方が合ったと思います。でも、侮ってくれて打撃できたので」

――ただし、この勝利で鈴木選手の打撃が知れ渡り、今後は打撃勝負でなく、組みついてくる選手が増えそうですね。

「だから引退したいんですよ(笑)」

――いや、だからもっとレスリングの練習をしないと……ではないのですか(笑)。

「アッ、そうですね。そうなりますね(笑)。レスリングを鍛えます(笑)」

――次戦を期待しています。

「ありがとうございました!!」