ドイツで報じられた日露首脳会談における北方領土問題

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平和条約の締結へ向けて

日本の安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談は、ドイツでも報じられた。ほとんどのメディアは

「ロシアと日本が平和条約の締結に向けて協議」

と題し、その中で、30日付ヴェルト紙オンライン版は、

「強硬派の2人が接近」

というタイトルで、
Image:首相官邸ホームページより

「実効的な進展を期待すべきではない」

ロシア科学アカデミー東洋学研究所日本学研究センターのWalerij Kistanow所長は、
「交渉が再開されるという事実は前向きで評価されるが、実効的な進展を期待すべきではない。双方の置かれた立場があまりにも異なり過ぎる。」
と語った。

ロシアは「南クリル諸島は、戦後、ロシアに帰属した」と主張。日本は「サンフランシスコ講和条約による千島列島には、日露和親条約で国境を定めた択捉島以南の南千島、いわゆる北方領土は含まれない」としてロシア政府に返還を求めている。

プーチン大統領「引き分けが理想」

ヴェルト紙によると、プーチン大統領は、過去に何度も協議への準備はできていることを示唆していたという。1年前には、ジャーナリストに「北方領土の論争は“引き分け”で終わるのが理想だ」と語っていた。

だが、プーチン氏の“引き分け”は、ロシア外務省の公式見解とはあまり変わらない。ロシアにとって、交渉の基礎は1956年の日ソ共同宣言にあり、「平和条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」ということだ。

また、両国にとって妥協することは、許されない。日本の主張は、あくまでも4島返還。ロシア国内のナショナリストらにとっては、2島の返還も受け入れがたいものであろう。Kistanow氏は、「交渉が再開することが安倍首相にとっては成功と言えるのではないか」という考えを示した。

▼外部リンク

ヴェルト紙(Welt Online)
http://www.welt.de/politik/

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