/近年、多様なデザイナーフォントが大量に出回って、視認性を強調する。しかし、フォントには、もともとあえて不慣れな人々に読みにくくする社会的な排他機能がある。専門連中の論争議論からネットモンスターの介入を防ぐために、ドレスコードと同様、クラスフォントが求められる。/

 パソコンの普及とともに、フォント(字体)というものが一般にも広く知られるようになった。日本語フォントで近年の最大の問題は、横書きの標準化。もともと漢字やかなは縦書を前提としているが、小説などの文系書籍をのぞき、パソコンからビジネス書類、公共の場の掲示まで、どこもかしこも横書。これまでの縦書の印刷活字のフォントではかならずしもうまく対応できないのだ。

 かようなわけで、大量のフォントデザイナーが出てきて、従来の縦書用のゴシック/明朝とは異なる独創的なフォントを試みている。これには、大きく2つの方向がある。ひとつは、「手書きフォント」と呼ばれるもので、居酒屋風だの、女子高生風だの、いろいろ。従来であれば本人が自分の個性で書くか、個別に面でデザイナーに発注していた掲示などが、それらしく簡単に作れる。もうひとつは、「デザイナーフォント」と呼ばれる、ゴシックとも明朝ともつかないもので、ユニヴァーサルな視認性を重視し、ふところやテンハネなどの文字の特徴を強調して、視力の弱い人でも見やすくしており、縦書小説でさえ、このような新しいフォントを好む出版社も少なくない。

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