17日(土・現地時間)、カナダはケベック州モントリオールのベル・センターで開催される「UFC154 St-Pierre vs Condit」。今大会では正規王者GSPと暫定王者カーロス・コンディットによるUFC世界ウェルター級王座統一戦が行われる。

2011年4月にジェイク・シールズに判定勝利し、7度の王座防衛を達成したGSP。しかし、同年末に右膝の前十字靭帯損傷の怪我を負い、その後は長期欠場。今回が約1年7カ月ぶりの試合となる。GSPは2007年12月にマット・ヒューズを下して暫定王者となって以降、約4年間も王者として君臨。UFCウェルター級はGSPという絶対的な存在を頂点とし「誰がGSPを倒せるか?」というテーマで、同級を代表する強豪が凌ぎを削っていた。

その絶対王者的存在が、長期欠場すると同時に新世代ファイターたちが台頭。ウェルター級は一気に混沌とした階級に様変わりした。GSPと統一戦を争うコンディットは、そんなウェルター級を勝ち上がってきた選手だ。元WEC世界ウェルター王者として2009年4月からUFCに参戦したコンディットは、マーティン・カンプマンに敗れた後は4連勝・3連続KO勝利で、ニック・ディアスとの暫定王座戦へ。ニックとの一戦では徹底したアウトMMAで翻弄し、ポイントメイキングの末に勝利をもぎ取った。

ニック戦は賛否両論を生む試合内容ではあったが、それまで驚異的なフィニッシュ率(27勝のうち26勝がKOもしくは一本=約96%)を誇っていたコンディットが、ポイントゲームでも競り勝てるところを見せたのは、彼のファイトスタイルに幅が広がったといっても過言でない。

とはいっても、世間の見方はこの一戦はコンディットがGSPに挑む形と捉えているに違いない。コンディットは187センチ(※公称)という長身を活かした打撃で試合を組み立て、そこからKOもしくはパウンドアウト、サブミッションによる一本勝ちでフィニッシュするスタイルの持ち主。ただし、レスリングスキルに優れたタイプではなく、テイクダウンでイニシアチブを取ることは多くない。

ニック戦までの試合を振り返っても、キム・ドンヒョンはどちらかといえばコンディットと同タイプのスタイルの持ち主で、打撃系といえるダン・ハーディーを相手にすれば、スタンドで打撃スキルの差を見せてKO勝ちを手にしている

逆にボクシング+レスリングを主体とするジェイク・エレンバーガーとの試合では、重心の低い構えから繰り出すエレンバーガーのパンチを被弾し、トップキープに苦しめられた。またリーチ差のないローリー・マクドナルド戦は、蹴りにテイクダウンを合わせられている。

つまり、劣勢をひっくり返す打撃やガードからのサブミッションというフィニッシュに直接つながる動きは抜群だが、レスリングで先手を取られる、打撃でリーチを活かせない場合、劣勢を強いられることが多い。

GSPのスタイルを考えると、ジャブや前足へのローといったリスクの少ない打撃で相手との間合いを測り、両足タックルでテイクダウンを奪うのが必勝パターン。コンディットが苦手とする展開=GSPが得意とする展開という図式が成り立つ試合になる。

膝の負傷をきっかけにトップフォームを取り戻せない選手は多く、GSPの場合も実際に試合が始まってみなければ、どこまで欠場前と同じ動きが出来るかは未知数。復帰戦のGSPにはテイクダウンの際の細かい動きやスタミナに難があるとも予想される。

コンディットとしてはそうした穴を突き、テイクダウンに合わせた打撃やフロントチョークといった一発勝負の技から、千載一遇のチャンスを掴めるかどうか――そんな世界統一ウェルター級戦となるだろう。
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