【速報】「遠藤保仁さんおもしろ写真コンテスト」大賞および入選作品決定のお知らせ。
ミスター・フォトジェニック!
気がつけばあと一週間でワールドカップアジア最終予選・オマーン戦。何かすっかりワールドカップ出場を決めたような気分ですが、まだまだ敗退の可能性は残されています。ピリピリした気分で試合を迎えなくては、4年に一度しかないアジア予選に申し訳ないですよね。
もしこれが高橋陽一先生の描く「キャプテン翼」であれば、主力選手が一斉に怪我をするところ。どうでもいい程度のキャラが代役をつとめるも苦戦の連続となり、漫画としてのハラハラドキドキ感を強引に保つわけです。何せ主人公と正GKが出ると勝ってしまいますからね。
そんな中、日本代表にもまるで漫画のような暗雲が漂っています。香川マンチェスター真司ユナイテッドは先月23日に左ヒザを痛め、復帰まで3〜4週間かかるとの診断。14日のオマーン戦には到底間に合うべくもありません。不動の右SB・内田篤人も6日の試合で右太もも裏の肉離れを起こし戦線離脱。こちらも2週間での復帰はとても無理という状況で、オマーン戦への出場はもちろん代表への合流も絶望的。
その上、今度は遠藤保仁さんが7日に行なわれたJ1リーグ柏戦で、相手選手との接触により右下アゴを挫傷し、試合後に9針を縫う怪我。すでに3人選手を交代したあとだったため退くことはできず、この試合はフル出場するハメに。痛々しいその姿。「またか」「日本代表にも暗雲だな」「これで最後とは限らないぞ…」と、度重なる主力の負傷に不安は高まるばかりでした。
しかし、暗雲を切り裂く陽光のように、ほかならぬ遠藤さんその人が不安を払拭してくれました。本来なら9針も縫う怪我ということで、メロンのひとつも持ってお見舞いしてもいいくらいの状況。それなのにテープでグルグル巻きにされて試合に復帰した遠藤さんは、「ケガはトモダチ」とでも言わんばかりに、不謹慎なほど面白い見た目だったのです。
「これは悪い報せのはずなのに」「いかん…見たら笑ってしまう」「笑っちゃダメだ…笑っちゃダメだ…笑っちゃダメだ…」とただひたすら下を向く観衆。しかし、顔を上げればそこにはキリッとした爆笑王がいる。僕の中の「葬式とかフォーマルな場で絶対に会いたくない見た目ランキンググ」で、元々1位だったものが一気に殿堂入りを果たした遠藤さんは、僕の不安を軽やかに消し去ってくれました。笑顔で頑張れば何とかなるさ…と。
ということで、ケガに負けない強い男を題材に、報道各社が写真の腕を競った「遠藤保仁さんおもしろ写真コンテスト」をチェックしていきましょう。
◆何も足さない、何も引かない、素材の味を大切に活かそう!
これだけの素材でいい写真を撮れなかったら、プロカメラマンの名折れ。面白いのは当たり前で、それを超えていく芸術性や意外性を見出してこそ価値があります。もしこれがワールドカップでのお披露目なら、それ一発で「バットマン」的なあだ名を頂戴し、一生トークで使える話題になるレベル。ある意味、ゴールシーンなどより緊張感をもって取り組むべき題材です。
●選外:スポーツニッポン新聞社/撮影者:不明
題名:「頭全体に包帯を巻いて、プレーを続行する遠藤 」
<解説>ガンバ大阪の遠藤保仁が、7日に行なわれた柏戦の後半に、相手選手と接触し、右下アゴを挫傷して試合後に9針縫った、という場面。
<寸評>ピントは合っています。必要なものは映っています。しかし、何の工夫もなく、何を表現したいという意図も感じられません。怪我をした人物を撮影しただけでは、芸術とは言えません。これだけの素材を前に面白くも何ともない写真を撮影してどうするのでしょう。血も映っていてちょっと怖いです。「カワいくない猫の写真」「怖くない心霊写真」「スケベじゃない壇蜜の写真」くらい稀有な仕上がりです。頑張りましょう。
●佳作:報知新聞社/撮影者:不明
題名:「ゲゲゲの一般人」
<解説>ミイラ男だ。透明人間の脱ぎかけだ。スケキヨだ。ひょっとこだ。いやガチャピンだ。グルグル巻きにされた素材を前に、一体コレが何に似ているかを議論し始める世間。しかし、素材自身は厳しい視線で世間の騒ぎを見つめ、冷笑すら浮かべ語りかけてくる。「水木しげる作品に出てくる『ゲゲーッ』て驚いてる人だろ」と。
<寸評>非常に素直に素材の面白さをとらえた一枚ですね。表情もよく出ており、好感がもてます。今後は、より面白く撮影するにはどうすべきかを考えてみましょう。背景に歯科医の看板などが映り込んでいれば、「最近の歯医者すげぇな」「昭和の治療が生き残ってる」「全部抜いちゃえ」と新たな着想を浮かんだかもしれませんよ。
●入選:共同通信/撮影者:不明
題名:「お面と見せかけて本面」
<解説>肌色のテープで首から頭をグルグル巻きにした珍しい状態を、あえて引き気味に撮影することで視覚を混乱させる。頭では「コレが本当の顔だ」とわかっていても、「何か浮いて見えるな」「むしろお面っぽい」「スキンヘッドのオッサンが遠藤のお面を被っているのでは?」という疑念で騙し絵のような効果をも生んだ。左から2番目にいる今野の顔と身体はどうつながっているのかも、地味に騙し絵的。
<寸評>よくある試合後の風景に溶け込ませるように、自然に素材を配置。溶け合うように混ざり合うようにあえてゴチャつかせることで、ピカソのゲルニカっぽい感じに仕上がりました。奇をてらわない一枚ですね。
●準特選:日刊スポーツ新聞社/撮影者:松本俊さん
題名:「LED電球」
<解説>未来を見つめる力強い視線。闇夜を大胆に切り取る構図には、雲間から姿を見せたご来光のような、暗から明へのダイナミズムを感じる。胸にはパナソニックのスポンサーロゴ。さしずめこれはLED電球と言ったところか。日本代表をも明るく照らす光は、決して衰えることを知らない。あと10年は照らせる。照らしてみせる。
<寸評>この素材の持つ笑い成分を打ち消した撮影者のセンスが光りました(結果的に笑うことは笑いますが)。ただ、素材の持つ本来の良さを活かすほうが、よりよい写真となるのではないでしょうか。「腕自慢」は鼻につくので注意を。少しカッコつけたカレンダーの表紙などにはオススメできそうです。
●特選:産経新聞社/撮影者:斎藤浩一さん
題名:「連作 お前さんの見たのはこんな顔だったかい?」
<解説>一心不乱にどじょうすくいに取り組む男。たまたま元からしていたヘアバンドもどことなく滑稽な印象を醸し出す。そこにやってきた旅人が語りかける。「いやいやさっきガンバの試合を見ていたら大爆笑」「遠藤がスゴイことになって」「怪我なので笑っちゃいけないんだけどさぁ」と。するとどじょうすくいの男がコチラを向いて言った。「お前さんの見た顔はこんな顔だったかい?」と…。
<寸評>大根で言えばおでん。サンマで言えば塩焼き。キャベツで言えば千切り。素材の魅力をど真ん中でとらえることに真摯に取り組んだ作品ですね。一枚にすべてを閉じ込めるという写真本来のあるべき姿からすると、高い評価にはつながりにくい連作という手法ですが、この素材ならではの必然性を感じさせる容赦のない切り取り方で、十分な説得力を持たせています。テーピングをどじょうすくいの手ぬぐいに見立て、いかにもな瞬間をとらえるあたりは、素材に対する模範解答と言えるのではないでしょうか。
●大賞:TBSチャンネル/撮影者:不明
題名:「いろいろな意味で終了」
<解説>残留争いの真っただ中、軽い疑惑の判定も交えつつ、やっとの思いで引き分けに持ち込んだチーム。しかし、明るい明日はまだ見えて来ない。果たして未来はどうなっているのか。見えないモノへの不安と期待を駆り立てるのは、後ろ向いたままの素材。人間が暗闇に言い知れぬ恐怖を覚えるように、素材の後頭部が無限の笑いを生み出す。「ガンバ大阪終了」の予感に腹筋を震わせながら…。
<寸評>素材の面白さを誰もがわかっていることで、こうした野心的な構図が成功しました。あえて後頭部だけを映し、「これ前のほうめっちゃ面白いことなってんで」という無限の期待感を生む大胆な手法。彼を振り向かせたいという想いで、吸い寄せられてしまいますね。「試合終了」という字幕もイイ顔してそうな期待を高めます。テレビ中継担当者ならではの作品と言えそうです。レイソル側の得点者表示を、間違えて「前半0分呂比須」「前半1分セホーン」としていれば、より面白い仕上がりとなったかもしれません。今後も字幕芸に磨きをかけていきましょう。
次は日の丸を背負ったバージョンでのコンテスト開催に期待!
気がつけばあと一週間でワールドカップアジア最終予選・オマーン戦。何かすっかりワールドカップ出場を決めたような気分ですが、まだまだ敗退の可能性は残されています。ピリピリした気分で試合を迎えなくては、4年に一度しかないアジア予選に申し訳ないですよね。
もしこれが高橋陽一先生の描く「キャプテン翼」であれば、主力選手が一斉に怪我をするところ。どうでもいい程度のキャラが代役をつとめるも苦戦の連続となり、漫画としてのハラハラドキドキ感を強引に保つわけです。何せ主人公と正GKが出ると勝ってしまいますからね。
その上、今度は遠藤保仁さんが7日に行なわれたJ1リーグ柏戦で、相手選手との接触により右下アゴを挫傷し、試合後に9針を縫う怪我。すでに3人選手を交代したあとだったため退くことはできず、この試合はフル出場するハメに。痛々しいその姿。「またか」「日本代表にも暗雲だな」「これで最後とは限らないぞ…」と、度重なる主力の負傷に不安は高まるばかりでした。
しかし、暗雲を切り裂く陽光のように、ほかならぬ遠藤さんその人が不安を払拭してくれました。本来なら9針も縫う怪我ということで、メロンのひとつも持ってお見舞いしてもいいくらいの状況。それなのにテープでグルグル巻きにされて試合に復帰した遠藤さんは、「ケガはトモダチ」とでも言わんばかりに、不謹慎なほど面白い見た目だったのです。
「これは悪い報せのはずなのに」「いかん…見たら笑ってしまう」「笑っちゃダメだ…笑っちゃダメだ…笑っちゃダメだ…」とただひたすら下を向く観衆。しかし、顔を上げればそこにはキリッとした爆笑王がいる。僕の中の「葬式とかフォーマルな場で絶対に会いたくない見た目ランキンググ」で、元々1位だったものが一気に殿堂入りを果たした遠藤さんは、僕の不安を軽やかに消し去ってくれました。笑顔で頑張れば何とかなるさ…と。
ということで、ケガに負けない強い男を題材に、報道各社が写真の腕を競った「遠藤保仁さんおもしろ写真コンテスト」をチェックしていきましょう。
◆何も足さない、何も引かない、素材の味を大切に活かそう!
これだけの素材でいい写真を撮れなかったら、プロカメラマンの名折れ。面白いのは当たり前で、それを超えていく芸術性や意外性を見出してこそ価値があります。もしこれがワールドカップでのお披露目なら、それ一発で「バットマン」的なあだ名を頂戴し、一生トークで使える話題になるレベル。ある意味、ゴールシーンなどより緊張感をもって取り組むべき題材です。
●選外:スポーツニッポン新聞社/撮影者:不明
題名:「頭全体に包帯を巻いて、プレーを続行する遠藤 」
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2012/11/08/gazo/G20121108004507760.html
<解説>ガンバ大阪の遠藤保仁が、7日に行なわれた柏戦の後半に、相手選手と接触し、右下アゴを挫傷して試合後に9針縫った、という場面。
<寸評>ピントは合っています。必要なものは映っています。しかし、何の工夫もなく、何を表現したいという意図も感じられません。怪我をした人物を撮影しただけでは、芸術とは言えません。これだけの素材を前に面白くも何ともない写真を撮影してどうするのでしょう。血も映っていてちょっと怖いです。「カワいくない猫の写真」「怖くない心霊写真」「スケベじゃない壇蜜の写真」くらい稀有な仕上がりです。頑張りましょう。
●佳作:報知新聞社/撮影者:不明
題名:「ゲゲゲの一般人」
http://hochi.yomiuri.co.jp/zoomImage/20121107-OHT9I00218.htm
<解説>ミイラ男だ。透明人間の脱ぎかけだ。スケキヨだ。ひょっとこだ。いやガチャピンだ。グルグル巻きにされた素材を前に、一体コレが何に似ているかを議論し始める世間。しかし、素材自身は厳しい視線で世間の騒ぎを見つめ、冷笑すら浮かべ語りかけてくる。「水木しげる作品に出てくる『ゲゲーッ』て驚いてる人だろ」と。
<寸評>非常に素直に素材の面白さをとらえた一枚ですね。表情もよく出ており、好感がもてます。今後は、より面白く撮影するにはどうすべきかを考えてみましょう。背景に歯科医の看板などが映り込んでいれば、「最近の歯医者すげぇな」「昭和の治療が生き残ってる」「全部抜いちゃえ」と新たな着想を浮かんだかもしれませんよ。
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●入選:共同通信/撮影者:不明
題名:「お面と見せかけて本面」
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2012/11/07/gazo/G20121107004506860.html
<解説>肌色のテープで首から頭をグルグル巻きにした珍しい状態を、あえて引き気味に撮影することで視覚を混乱させる。頭では「コレが本当の顔だ」とわかっていても、「何か浮いて見えるな」「むしろお面っぽい」「スキンヘッドのオッサンが遠藤のお面を被っているのでは?」という疑念で騙し絵のような効果をも生んだ。左から2番目にいる今野の顔と身体はどうつながっているのかも、地味に騙し絵的。
<寸評>よくある試合後の風景に溶け込ませるように、自然に素材を配置。溶け合うように混ざり合うようにあえてゴチャつかせることで、ピカソのゲルニカっぽい感じに仕上がりました。奇をてらわない一枚ですね。
●準特選:日刊スポーツ新聞社/撮影者:松本俊さん
題名:「LED電球」
http://www.nikkansports.com/soccer/news/photonews_nsInc_f-sc-tp1-20121107-1043798.html
<解説>未来を見つめる力強い視線。闇夜を大胆に切り取る構図には、雲間から姿を見せたご来光のような、暗から明へのダイナミズムを感じる。胸にはパナソニックのスポンサーロゴ。さしずめこれはLED電球と言ったところか。日本代表をも明るく照らす光は、決して衰えることを知らない。あと10年は照らせる。照らしてみせる。
<寸評>この素材の持つ笑い成分を打ち消した撮影者のセンスが光りました(結果的に笑うことは笑いますが)。ただ、素材の持つ本来の良さを活かすほうが、よりよい写真となるのではないでしょうか。「腕自慢」は鼻につくので注意を。少しカッコつけたカレンダーの表紙などにはオススメできそうです。
価格:1,780円 |
●特選:産経新聞社/撮影者:斎藤浩一さん
題名:「連作 お前さんの見たのはこんな顔だったかい?」
http://www.sanspo.com/soccer/photos/20121107/jle12110723170020-p2.html
http://www.sanspo.com/soccer/photos/20121107/jle12110723170020-p1.html
<解説>一心不乱にどじょうすくいに取り組む男。たまたま元からしていたヘアバンドもどことなく滑稽な印象を醸し出す。そこにやってきた旅人が語りかける。「いやいやさっきガンバの試合を見ていたら大爆笑」「遠藤がスゴイことになって」「怪我なので笑っちゃいけないんだけどさぁ」と。するとどじょうすくいの男がコチラを向いて言った。「お前さんの見た顔はこんな顔だったかい?」と…。
<寸評>大根で言えばおでん。サンマで言えば塩焼き。キャベツで言えば千切り。素材の魅力をど真ん中でとらえることに真摯に取り組んだ作品ですね。一枚にすべてを閉じ込めるという写真本来のあるべき姿からすると、高い評価にはつながりにくい連作という手法ですが、この素材ならではの必然性を感じさせる容赦のない切り取り方で、十分な説得力を持たせています。テーピングをどじょうすくいの手ぬぐいに見立て、いかにもな瞬間をとらえるあたりは、素材に対する模範解答と言えるのではないでしょうか。
●大賞:TBSチャンネル/撮影者:不明
題名:「いろいろな意味で終了」
http://live2.ch/jlab-fat/s/fat1352289255719.jpg
<解説>残留争いの真っただ中、軽い疑惑の判定も交えつつ、やっとの思いで引き分けに持ち込んだチーム。しかし、明るい明日はまだ見えて来ない。果たして未来はどうなっているのか。見えないモノへの不安と期待を駆り立てるのは、後ろ向いたままの素材。人間が暗闇に言い知れぬ恐怖を覚えるように、素材の後頭部が無限の笑いを生み出す。「ガンバ大阪終了」の予感に腹筋を震わせながら…。
<寸評>素材の面白さを誰もがわかっていることで、こうした野心的な構図が成功しました。あえて後頭部だけを映し、「これ前のほうめっちゃ面白いことなってんで」という無限の期待感を生む大胆な手法。彼を振り向かせたいという想いで、吸い寄せられてしまいますね。「試合終了」という字幕もイイ顔してそうな期待を高めます。テレビ中継担当者ならではの作品と言えそうです。レイソル側の得点者表示を、間違えて「前半0分呂比須」「前半1分セホーン」としていれば、より面白い仕上がりとなったかもしれません。今後も字幕芸に磨きをかけていきましょう。
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次は日の丸を背負ったバージョンでのコンテスト開催に期待!
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