■J1優勝争いを控えている 
 
 優勝争いを控えている広島から、実力がわかっている寿人を無理をして呼ぶ理由はない。ザッケローニにとって寿人はFWの4番手だが、オマーン戦は一発勝負であり、1トップを務める選手は前田、ハーフナー、本田圭佑と3選手いる。一方、広島にとっては代替の効かない大エースなので、その辺の事情を考えれば「今スグにここで必要」にはならない。このあたりの深謀遠慮はあったのかと思います。
 
 じゃあなぜ西川周作は呼ばれたのかというと、これも言わずもがなというか、上記の寿人の事情をそのまま当てはめればわかるかなと。正GK川島永嗣との差はそれほど大きくなく、逆に第3GK権田修一との差はある、「不動の第2GK」という位置付けなのかなと思う。まあ僕としては、どこかで西川がレギュラーを奪って、GKからもビルドアップがしっかりできるチームになってほしいんですけど。


■試合出場の可能性が低い 
 
 上記に絡むが、前田遼一が健在であるならハーフナー・マイクがその控えとなり、さらに本田圭佑まで1トップを務められる現状、佐藤寿人を使う可能性は低いですよね。まして、テストマッチではなく公式戦なので。ザッケローニの慎重な性格を考えても、W杯出場を確定させるまで(W杯予選において)テストはないと考えたほうがよく、そういう状況で佐藤寿人を呼んでもベンチの肥やしになるだけだなと。

 個人的な予想として、寿人が呼ばれる状況は「当落線上にいるFWがどれも頼りにならない」場合の「一発に賭ける」選手としてだと思います。まだワールドカップ開幕まで1年8ヶ月ほどあるし、その間にロンドン五輪世代およびその下から伸びてくる選手は出てくるでしょうし、その選手は宇佐美貴史かもしれないし、宮市亮かもしれないし、他の誰かかもしれない。
 
 本田圭佑を1トップに上げるというオプションが存在する以上、佐藤寿人のライバルはハーフナー・マイクと李忠成と森本貴幸だけでなく、シャドーの選手たちでもある。そう考えると、あるいは寿人は宇佐美に押し出された、という見方も可能かもしれない。
 
 いかにJリーグで結果を出していようと、ザッケローニがJリーグをプレーインテンシティの低い、ゆるい環境だと評価している以上、30歳の寿人にとって可能性は低いままです。では彼を海外のどこかに手放せばいいのかというと、そんな酷なことは聞かないでほしい、というのが現在首位のサンフレッチェ広島サポの偽らざるジレンマかなと。
 
 まあ、ウチにとって寿人が重要な選手であることに何の変わりもないので、残り4試合にすべてを振り向けるようにしたいと思います。