映画と同じ世界観で花札が楽しめる「サマーウォーズ 〜花札KOIKOI〜」
iOS版、Android版、どちらもあります。

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梅雨が明け、夏到来。今年も金曜ロードSHOW!にあの映画が戻ってきました。細田守監督初の長編オリジナル作品「サマーウォーズ」、2009年公開にもかかわらず、早くも2回目の地上波登場です。

TwitterやfacebookなどのSNSサービスを想起させる「仮想空間OZ」の設定やストーリーはもうご存知の方も多いでしょうし、ネタバレになってしまうのでここで詳細は触れませんが、ラストにおける「よろしくおねがいしまーす」の流れは、「バルス祭り」に続くツイートイベントにもなりそうで今からワクワクしますね。
ところで、この作品の終盤の肝とも言うべき「花札」の場面は、スピード感と緊迫感もあって一気にカタルシスを感じることができる一方、「なんで花札?」という疑問を抱いたことはないでしょうか。前半部分で、おばあちゃんと主人公・健二が花札に興じるシーンは確かにあるものの、一か八かの大勝負としていきなり花札が始まったのには、初めて観たみたときに「え、なんで?」と思ったものです。この疑問に対して、映画公開時の「電撃オンライン」のインタビューで監督自身が答えていたので、ここで抜粋させていただきます。

<細田監督:花札を選んだ理由なんですが、花札って“家族でやるゲーム”というイメージがあると思うんですよ。おじいちゃんやおばあちゃんが孫にこっそり教えるとかね。花札って賭博(とばく)のイメージもあるので、学校には持っていきづらいじゃないですか。するとね、遊ぶ場所が家族の中だけになっちゃうんだよね。それで、お盆やお正月の時に親戚で集まって花札をやるという感じが僕の中であって。あとまぁ、もう1つあるのは、花札って言ったらやっぱりあれだよね。僕の大好きな任天堂の元にあるものだから(笑)。>

お盆だから花札! 何とも単純な理由です。
私自身、郷里では確かに盆暮れ正月は他に娯楽も少なく、花札遊びに勤しんでいたので納得できる設定なのですが、全国的に見てこの「お盆=花札理論」がどれほど共感を呼べるのかは正直不安です。また、「花札のルール、当然知ってるよねー」の前程で描かれている節もあり、勝負のアヤや駆け引きなどの面白さは、花札のルールを知らないと若干わかりにくいのではないでしょうか(だからこそ、スピード感を重視して一気に描ききっている、と見ることもできますが)。
でも、どうせならルールを知っている方が、この夏希先輩とラブマシーンの名勝負がより楽しめるというもの。そこで、花札をよく知らない人の為に、その初歩の初歩をここで押さえておきましょう!


■花札は「季節」をテーマにした日本らしいカードゲーム
花札の歴史は安土・桃山時代の「天正かるた」、江戸時代上期の「ウンスンカルタ」から、江戸時代中期に現在使用している花札ができたと言われています。(任天堂ホームページより抜粋)

「花札」と言えば「任天堂」、「任天堂」と言えば「花札」───。
上記の細田監督インタビューにもある通り、40代以上でファミコン世代以前の「遊び人」の皆さんにはこの認識が強いのではないでしょうか。元々は花札・トランプを中心とした玩具メーカーだった任天堂が、その後ゲーム業界で天下を取る歴史はここでは割愛しますが、任天堂では現在でも花札を製造・販売しており、「大統領」「丸福天狗」「都の花」の花札3種のシェアは今なお国内トップと言われています。
花札の枚数は全部で48枚。季節にあわせた花や動物が12ヶ月×4枚ずつ描かれています。札には20点、10点、5点、1点のいずれかの点数が割り振られており、例外もありますが「豪華な柄で動物が描かれているほど得点が高い」と憶えるのがまずはいいでしょう。この絵柄を見るだけでも情緒があって楽しいのですが、勝負にも当然関わってくるポイントでもあり、どの札が何月か、はわかっていた方がGood。「サマーウォーズ」でも花札勝負の冒頭、<「柳に燕」「菖蒲にカス」親が夏希さんに決定しました。>というナレーションだけがサラッと入ってすぐに勝負に移行してしまうため見過ごしがちですが、花札では月の若い札を選んだ方が親になる、という暗黙のルールがあり、この場面ではラブマシーンが「柳に燕」という11月の札を、夏希が「菖蒲にカス」という5月の札をめくった、ということがわかります。
(花札の絵柄、月の分類に関しては上記の任天堂ホームページでも確認できますのでぜひチェックしてみてください。)


■サマーウォーズの花札は「こいこい勝負」
花札には、実は様々な「競技」がありますが、中でも有名なのは2人で対戦する「こいこい」と、3人で戦う「花合わせ」でしょう。私自身は「花合わせ」で育ったのですが、今もっとも花札を楽しめる携帯ゲームでは、その操作性からもほとんど「こいこい」が採用されているので、若い方はむしろ「こいこい」ルールしか知らないかもしれません。勝負勘・度胸・かけひき・冷静さが必要とされ、勝敗もわかりやすいことから、「サマーウォーズ」でもこの「こいこい」ルールが採用されています。

「こいこい」は、簡単に言えば、場に並べられた1月〜12月の札と同じ月の札を、2人で交互に取り合っていくゲームです。獲得した札の種類によって「役」ができ、その組み合わせによって得点(文)が変わります(有名なのが「猪鹿蝶」や「月見で一杯・花見で一杯」でしょう)。「こいこい」が面白いのは、役がひとつでも揃った時点で勝敗を決することができる、というスピード感です。そして、更に得点を重ねたい場合は<こいこい!>というかけ声を発することでゲームを継続することができます。


■夏希vs.ラブマシーンの花札勝負 徹底解明
それでは、ラブマシーンと夏希の1試合目を例に、具体的に見ていきましょう。
まず、夏希が「青短」(青色の短冊が描かれた札)を3枚を獲得します。6文分の得点を得ることができ、そこで勝敗を終えることもできるのですが、大博打を挑んでいる夏希としてはもっともっと大きな役を狙う必要があります。

司会:「こいこい」にしますか?

夏希:「こいこいっ!」

司会:夏希さん、「こいこい」です。→三光です。「こいこい」しますか?→「タン」です。夏希さんの勝利です。

いくつかの手数が省かれていることもあり、この流れだけだと何が起こったのか、なぜ夏希が勝利したのかわかりにくいですよね。その後の得点ボードもチェックしてみましょう。

・Dry 4 Bright(四光)……10mon
・Blue Tanzaku(青短)……6mon
・Red Tanzaku(赤短)……6mon
・Viewing the Moon(月見で一杯)……3mon
・Five Tanzaku(タン)……1mon

夏希の上がり札は「四光」「青短」「赤短」「月見で一杯」「タン」の5つです。
「こりゃあやっこさん素人だ」という台詞も出るくらい、普通ここまで役を重ねるにはよほど相手が弱くない限り至難の業と言えるでしょう。「三光」(20点札3枚)というアナウンスがあったのに「四光」(「柳に小野道風」以外の20点札4枚をそろえた役)が成っていることから、「タン」(5点札が5枚以上)を揃えるまでの過程で、別の20点札もゲットしたことがわかります。また、通常「花見で一杯」「月見で一杯」は5文なのですが、今回のルールでは3文設定にしてあるようです。(「花見で一杯」「月見で一杯」は成りやすいので、そうする場合もあります。ちなみに「赤短」「青短」が揃ってるんだから「タン」の得点は2文以上じゃないの? という疑問は内緒です。ローカルルールが設定されている場合もありますので。)

その後、49thの得点ボードまで負けた描写がありませんので、夏希は48連勝したことになります。これは恐ろしいことです。というか、ラブマシーンが花札のルールを憶えるまでにそれだけの時間がかかったと見るべきでしょう。意外とたいしたことがない人工知能です。
しかし、49回目の対戦で遂にラブマシーンが1勝。それまで夏希が重ねた得点(=掛け金代わりとして設定していたアバター数)がラブマシーンに移行してしまいます。掛け金代わりのアバターもなくなり、絶対絶命の夏希。花札勝負の行方は……ぜひ今夜の本編で確かめてください。


■さあ、実践してみよう!
以上、本当にさらっと花札のルールをおさらいしてみましたが、小学生でも憶えられる簡単なルールが花札であり、実際にやってみた方がアッという間にマスターできます。ゲームアプリでもたくさんの花札ゲームがありますが、どうせなら「サマーウォーズ」の世界観で楽しみませんか? なんと、ラブマシーンとの花札対決を再現したアプリがあるんです。その名も「サマーウォーズ 〜花札KOIKOI〜」。iOS版は450円。Andriodでは無料版と、オンライン対戦とTwitter連携が可能になる有料版(600円)があります。

iOS版の場合、自分の好きなアバターを使って、サマーウォーズに登場した3人のアバターと花札で戦う「フリー対局モード」と、全国のオンラインプレイヤーと協力してラブマシーンに花札で対局を挑む「ラブマシーンモード」があり、花札アプリでありながら、映画を模したサイバーな雰囲気と演出が行われ、サマーウォーズ独特の世界観が再現されています。私が先日遊んでみたときは「ラブマシーンモード」も10人くらいしか集まっていませんでしたが、今夜のテレビ放映後であれば人数も増え、より映画の雰囲気に近くなるのではないでしょうか。


■まだまだあるよ。「サマーウォーズ」の楽しみ方
というわけで、花札を主眼に「サマーウォーズ」を見てみましたが、金曜ロードSHOW!版では他にも見どころ・楽しみどころがありますので最後にチェックしておきましょう!
2年前の地上波初放送では、データ放送中にシーン毎の解説や豆知識など番組に連動した文字情報を紹介する試みが行われたのですが、今回は日本テレビのソーシャルテレビ視聴サービスJoinTVに利用登録すると、「サマーウォーズ」視聴中にテレビ画面で、仮想世界OZに自分のfacebookアカウントでログインできるんです。具体的に何ができるかというと、テレビを同時に見ているfacebook上の「友達」がテレビ画面に表示され、さらには番組内でクイズに答えたり、「友達」同士でお互いの回答をチェックしたり、「友達」同士のランキングを表示する機能もあるんだとか。また、全国の視聴者の回答を集計して表示できるなど、新しいソーシャル視聴&コミュニケーションが体験できます。
(JoinTVへの登録方法など、くわしくは「金曜ロードSHOW!」の公式サイトをチェック!)

テレビを見ながら「JoinTV」で情報を共有し、見終わった後は「サマーウォーズ 〜花札KOIKOI〜」で花札勝負を追体験。今夜はより立体的に「サマーウォーズ」を楽しみましょう! 
さらに明日21日(土)からは細田監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」も公開されますのでこちらもぜひチェックを!
(オグマナオト)