タコを生の状態のまま瓶底でまんべんなく叩きます

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今年もあと1日、そしていよいよお正月へ。でもおせち料理の準備が何もできてないという方も多いのでは。
今から頑張って作ろうと思っても、やはり品数が多くないと重がさまにならない。なんとか簡単に品数を増やせる美味しいレシピはないかしら、とネットを検索している人いませんか?

そんな時はプロに聞くのが一番。というわけでグアムの日本料理店で料理長を務めている松並哲哉さんにおせち料理向けの裏ワザを聞きました。

「おせち料理には祝い肴三種や煮しめのようにある程度の形式もありますが、内容は地方によって様々です。いずれにしても特徴として火を使わずにそのまま召し上がれるもので構成されています」

「これは正月に火を使うことを避ける風習によるものだという説もありますが、恐らく正月くらいはお母さんにものんびりしてもらおうと作り置きの効くもので構成されるようになったのではないかと思います」

「現在は冷蔵庫もありますし食材も昔と比べて豊かになっていますから、あまり形式にこだわらず作り置きの効くもので作ればいいのではないでしょうか」

確かにおせちに入っていてもさまになりそうではありますが、美味しく作るために何か秘訣でもあるのでしょうか。

「タコが苦手な方は噛みきれない食感が苦手という方が多いんです。でも繊維を断ち切ってあげると驚くほどやわらかくなりますから、ご年配の方やお子様でも美味しく召し上がっていただくことができます」

なるほど。じゃあどうやって繊維を断つのでしょう?

「簡単です。ビールなどの瓶の底で叩いてあげるだけでいいんです」

そういうと松並さんは生タコをマナ板の上でまんべんなく叩き始めました。叩き終えると軽く塩で全体のぬめりを取り、1分ほど茹でてお湯を換え10分の1ほどの酒を加えて1時間以上弱火でコトコト煮込みだしました。最後残ったお湯の1/12の濃い口醤油と砂糖を加えて完成。

試食させてもらってビックリ! やわらか〜い! こんなにやわらかなタコを食べるのは初めて。しかも美味しい! 冷蔵庫に入れると一週間以上は持つとのこと。これはいい!

でもそれなりに手もかかっているような気が……。シェフ、もう少し簡単なレシピはないですか?

「それでは和風ローストビーフはいかがでしょう?」

おせちにローストビーフですか。

「伝統的なおせちですと意外とお子様が召し上がらないことがあるんです。お肉を加えると小さいお子様や育ち盛りのお子さんにも喜ばれますよ」

なるほど。それではどうやってつくるのですか?

「牛の肩肉をフライパンで中弱火で片面5分ずつ焼いて火を入れます。その横で市販のもので結構ですので蕎麦つゆを天つゆ程度に薄めて沸騰させます。両面焼き終わったら沸いた火から下ろした蕎麦つゆにつけておくだけです」

松並さんによると料理は冷えるときに具材に味が入り込んでいくとのこと。煮込み料理が翌日以降の方が美味しくなるのもこの理屈からだとか。つゆが冷えたら一晩冷蔵庫で寝かせて完成。うん、これなら簡単そう。

私はおろしニンニクを薬味に味見してみました。美味しい! たしかにこれなら育ち盛りの男の子でも好きそう。こちらもつゆにつけたまま冷蔵庫で一週間は持つとか。

働いているお母さんが多い現在、こういうレシピは便利ですね。しかもおせち以外にも使えそう。皆さん、簡単レシピをうまく使ってよいお正月を!
(鶴賀太郎)