中国の元国家主席、故・劉少奇氏の子息で、軍事科学院政治委員の劉源氏が、中国人民解放軍総後勤部の政治委員に任命される見通しであることが分かった。次期国家主席と目されている習近平・国家副主席と親交があることから、2012年に開催される第18回中国共産党大会での中央軍事委員会入りに向けた布石の人事で、習近平氏が軍部の主要メンバー固めを始めたとの見方もある。多維新聞が伝えた。

 香港紙・明報は、消息筋の情報として、この人事が近く正式に発令されると報じている。劉氏が現在所属する軍事科学院は人民解放軍のシンクタンクであり、実権を伴わない。一方、総後勤部は中国陸海空軍の後方勤務を統括する最高機関であり、その政治委員への転属は、階級上は同格だが、将来が有望視されることは言うまでもない。

 劉源氏は、父親の劉少奇氏が文化大革命で失脚したため、農村に下放され労働に従事する青年時代を過ごした。名誉が回復され大学を卒業後、自ら志願して再び農村に下り、河南省で農村公社の指導者、副省長などを歴任。1992年に軍に転じた後は出世を遂げ、昨年上将に昇任したという異色の経歴の持ち主。

 国防大学政治委員の劉亜州氏(故・李先念国家主席の女婿)、海軍政治委員の劉暁江氏(故・胡耀邦共産党総書記の女婿)らとともに、軍の「太子党(高級幹部の子弟)」の代表的人物とみなされている。開国の元勲の家庭に生まれながら父親の失脚によって農村に送られたことなど、習近平氏と境遇が重なる点も多く、深い親交があるとされる。(編集担当:中岡秀雄)



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