/いくらでも拡大解釈ができる、ということは、いくらでも縮小解釈ができる、ということだ。それゆえ、今後は、審議会で、いかに個別作品を擁護するが問題の焦点となる。くわえて、18禁エロマンガの年齢確認も、そのプライヴァシー保護の方法を工夫しなくてはならない。だが、はたして、それでコストが合うのか。/

 今回、「表現の自由」を掲げて反対で騒いでいたのが、作り手以上にファンの側だったことは注目に値する。その中心となったのが、エロマンガファン。彼らは、自分たちの嗜好が標的とされたことに対して、それを隠し、マンガ全体への危機であると煽った。それで、それ以外のマンガファンまでが浮き足立った。

 しかし、重要なのは、じつは条例ではなく、同施行規則の方であり、実際の審議会の運営と議論だ。条例が曖昧だ、いくらでも拡大解釈ができる、ということは、逆に言えば、いくらでも縮小解釈ができる、ということでもある。とくに、違法な性交を「不当に賛美し又は誇張することにより」という条文は、表現そのものではなく、表現の意図に踏み入ったものであることにおいて、個別作品で大きな議論となりうる。つまり、昔のように、毛が見えたらダメ、というような形式規定ではなく、表現の正当性が問われる。これは、表現者にとって、表現の意図に正当性さえ認めてもらえるなら、むしろ何でもできる、ということでさえある。しかし、この条文は、一歩間違えば、表現統制ではなく、思想統制にもなりかねない。


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