サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で北朝鮮代表チームを指揮したキム・ジョンフン監督が7月31日、惨敗の責任を取って建設現場で強制労働を強いられていると英国の日刊紙「ザ・サン」が報じたが、これは誤報だとする見方が浮上している。

 ザ・サン紙は、W杯でポルトガルに0対7で大敗するなど3戦3敗の不振な成績を記録した北朝鮮代表チームのキム監督が、帰国後に党籍を剥奪(はくだつ)され、建設現場で1日14時間にもおよぶ強制労働を強いられていると報じた。

 複数の韓国のメディアもこの話題を伝えていたが、キム監督が「キム・ジョンイル総書記の三男、キム・ジョンウン氏の信頼を裏切った」という罪状で処罰されているという報道について、どのように取材したのか全く言及していないとして、一部のメディアは、懐疑的な見方を示している。キム北朝鮮代表チーム監督の強制労働説は事実無根だったと報じたメディアも見られた。

 北朝鮮のサッカー界に詳しい、在日韓国人ジャーナリストのキム・ヨンウク記者が、北朝鮮代表チーム関係者に直接問い合わせところ、その関係者は匿名を条件に「キム監督が強制労働に苦しんでいるとの海外メディアの報道は、事実ではない」と韓国メディアの電話インタビューに答えたという。

 キム記者は在日韓国人3世で、これまで北朝鮮サッカー代表チームを何度も密着取材しており、北朝鮮サッカー専門家としても知られるサッカー・コラムニストでもある。

 キム記者によると、キム監督と北朝鮮代表チームのメンバーたちは、政府からどんな形態の処罰も受けてはおらず、44年ぶりにワールドカップ本選の舞台に進出したことだけでも、素晴らしい成果というのが北朝鮮サッカー界の共通した反応だという。

 さらに、ポルトガル戦が不振だったという理由だけで、代表チーム監督を処罰するということは、常識的に考えても納得できない話だとし、北朝鮮サッカー界の内部では、来年1月に開かれるアジアカップの本選でも、キム監督が代表チーム司令塔であるべきとの声が高まっている、との現状を報告している。(編集担当:李信恵・山口幸治)



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