担当M(以下M):セルビア戦を見ていると、このままワールドカップに突入して大丈夫だろうかと心配になりました。

ラモス(以下R):これは今の時期、しょうがないと思います。昔は日本のトップ選手といったら15人程度しかいなかった。今は30人前後の選手たちのレベルが同じです。だからみんなベンチを見ながらサッカーをする。ワールドカップに出たいですからね。言いたいことも言わずに黙って監督の言うことを聞く。今選ばれている選手の中でもそんな心理は働いて仕方がないでしょう。

M:今の代表チームはオシム前監督時代からおとなしいと言われ続けています。

R:だけど日本のトップ選手たちなんですから自分たちのサッカー観を持っていないわけがない。それを出していないだけですよ。

M:自分を表現しないままワールドカップで戦うことになるのでしょうか。

R:それは避けて欲しいですね。だからメンバー発表があった後に、ちゃんと監督と話をしたほうがいいですよ。自分の考えをちゃんとぶつけないと、ワールドカップには出場したけれど自分のよさを全然出せないままに終わってしまいます。監督に話をすることなくプレーしてしまっては、独りよがりのプレーということになりますからね。それも勝てない要素になる。だから選手は選ばれたら肩の力を抜いて、「さぁやろう」という一体感を作り上げて欲しいですね。

M:日本人にそういう開き直りはできるでしょうか。

R:難しいかもしれない。だけど選手には自分たちのプライドも大事にして欲しい。

M:ラモスさんはずっとプライドを捨てませんでしたよね。

R:プライドはあったけど、ちゃんと話もしていましたよ。そこで納得できたらやってみたし。オフト監督の時に最初にぶつかったけど、そのあとはちゃんと言うとおりにやってみせたでしょう? それにどんなときにも全力でプレーしましたからね。そこだけは外さなかったからみんなにも話ができたと思います。プライドだけじゃなくて走らないとね。

M:セルビア戦には木村和司監督の下で走り回っている山瀬選手も選出されていました。

R:カズシは自分が走らなかったくせに、選手には走らせてるね(笑)。

M:木村監督も走ることで持っているアイデアを使えるとおっしゃっていました。

R:走って戦える選手じゃないとね。いつまでも走れるって僕は自分で表現しました。だってJリーグが始まったときには36歳でしたからね。だから代表選手たちはみんな元気出して走り回ってほしいですね。