今夏の移籍マーケットで、補強の遅れが懸念されるアーセナル。昨シーズンの王者マンチェスター・ユナイテッドやリバプールが大型補強を敢行し、チェルシーも例年よりは控えめながらピンポイントの補強でチーム力を確実にアップする中、エースのティエリ・アンリを放出したアーセナルは、ブラジル生まれのクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルバを獲得した以外、目立った戦力補強に手をつけていない。

 しかし、指揮官のアーセン・ベンゲル監督は、これ以上攻撃陣に新戦力を迎え入れるつもりがないことを明言。ボルトンのFWニコラ・アネルカの獲得が噂されているが、1997-98シーズンにアーセナルのダブル(リーグ戦とFAカップの2冠)達成に貢献したこのフランス代表の復帰についてキッパリと否定したベンゲルは、レンタル先のバーミンガムから復帰した19歳のデンマーク人FWニクラス・ベントナーを攻撃陣のキーマンに挙げた。

「新たにFWを獲得するかだって? それはない。すでにエドゥアルドを獲得したからね。これ以上ストライカーは獲得しないよ。今シーズン、私は二クラス・ベントナーが一皮むけると確信している。その潜在能力を存分に発揮してくれるはずだ」

 アネルカに加え、ニューカッスルのナイジェリア代表FWオバフェミ・マルティンスも獲得候補に挙げられていたアーセナル。しかしベンゲルは、「ベルカンプとアンリを足して2で割ったような選手」と評するロビン・ファン・ペルシーや、トーゴ代表のエマヌエル・アデバヨールといった現有戦力の奮起に加え、ベントナーなど若手の台頭を求める意味で、絶対的なエースを失った攻撃陣の補強をあえてダ・シルバのみに留めている。熱きのメッセージが込められた知将ベンゲルの“荒療治”は、若きガンナーズ達に届くだろうか。