チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督は、一時は確執関係が伝えられたロシア人オーナー、ロマン・アブラモビッチ氏との和解を宣言。今後は、プレミアリーグのタイトル奪還に向け、強固な協力体制を築くと語った。

 指揮官とオーナーの確執が伝えられたのは、今年1月の移籍マーケットがきっかけ。主力選手の怪我人続出に悩まされていたモウリーニョは、クラブに対し戦力補強を要求した。しかし、アブラモビッチはこれを却下。その後、マスコミを通じて不信感を露にしたモウリーニョは、アブラモビッチ率いる首脳陣と冷戦状態に陥り、一時はチェルシー退団が確実とまで言われた。

 しかし、シーズンオフに入り、トップ会談の場を設けた2人は、和解に達したようだ。和やかな雰囲気で行なわれたというミーティングについて、モウリーニョは次のように語っている。

「彼に会うため、ロンドンに足を運んだんだ。スタンフォード・ブリッジでかなり長時間のミーティングを行なったよ。おかげで、我々の間にあったわだかまりは解けた。もう何も問題はない。彼の考えや、何を望んでいるかまで理解できた。そして、彼も監督としてだけでなく、一人の人間として私を理解してくれている。仕事の進め方にも理解を示してくれているよ。私は人とのコミュニケーションを嫌う人間だと思われているようだが、そんなことは全くない。事実、ロマンとのミーティングも楽しんだし、すべての問題は解決した。我々は素晴らしい関係を取り戻したよ」

 一方モウリーニョは、昨シーズンのプレミアリーグを制したマンチェスター・ユナイテッドと比較して、「つまらない」と批判されることの多いチェルシーのプレースタイルについて、来シーズンはより魅力的な攻撃サッカーを展開すると断言。その鍵を握るのが、フランス代表のフロラン・マルダを加えたウインガー陣だという。

「タイトルを奪い返すのはもちろんだが、同時にチームとして成長を続けたい。そのためにも、ウィングを使った攻撃的なサッカーを取り戻すつもりだ。勝利と同時に、観客を楽しませるサッカーを目指したい。我々には、アリエン・ロッベン、ジョー・コール、フロラン・マルダ、サロモン・カルーといった選手がいる。彼らのような選手を起用することで、ピッチを広く使ったプレーが可能となる。そして、攻撃にスピードと創造性が加わるんだ」

 オーナーとの和解で、覇権奪回へのハードルをまた一つクリアしたモウリーニョ。例年になく静かなシーズンオフを過ごすポルトガル人監督は、「プレミア一」と豪語する現有戦力をじっくりと熟成させてシーズンに臨むつもりだ。来シーズンは、「継続性」を前面に押し出す新生チェルシーの姿が見られそうだ。