今年1月に元イタリア代表GKイヴァン・ペリッツォーリはロシアへ渡った。ローマで順風満帆なキャリアを送るかに思われていたが、レッジーナへ都落ちし、ローマがこれ以上彼に価値を見出さないとわかった瞬間、彼はためらうことなくロコモティブ・モスクワのゴールを守ることを決めた。

「代表に戻りたいのが一番の理由だった。ロコモティブはロシア・リーグのチャンピオン・チームだし、UEFA杯でも常連だ。外国の舞台で自分を売り込む機会が増えれば、(伊代表監督)ドナドニもきちんと評価してくれる」

「ロシア・リーグのピッチでは全員が狂ったように走る。セリエAに比べればテクニック的には劣るけど、自己犠牲を厭わないようだ。まずはゴール前で指示するためにロシア語の“右、左”だけは覚えた」

「モスクワは美しい街だよ。だけど中産階級というものが存在していない。スーパーリッチ層か、極端な貧困層しかいない。
寒いかって?そりゃね。慣れるしかないよ。来たばかりの頃、実際何が一番の問題だったかって、ホテルのベッドで俺の身長に合う2mサイズがなかったことだね(笑)」

 欧州全体をまかなう石油、天然ガスなどのエネルギー供給源としてロシアン・ビジネスの存在感は、日に日に増している。クラブ側は、来季さらなるイタリア人プレイヤー獲得をペリッツォーリに確約しているという。ロシアン・サッカーの隆盛に賭けたペリッツォーリの決断は吉と出るだろうか。