今オフも大物選手の移籍で賑わうプレミアリーグ。その中でも主役の一員として注目を集めているのがリバプールだ。昨シーズン途中に、アメリカ人実業家のトム・ヒックスとジョージ・ジレットによるクラブ買収が成立したリバプールは、潤沢な補強資金で大物選手獲得を連発。先週、スペイン代表FWフェルナンド・トーレスをクラブレコードとなる2400万ポンド(約59億円)で獲得すると、今週にはアヤックスからオランダ代表FWライアン・バベル、そしてウェストハムからイスラエル代表MFヨッシ・ベナユンの獲得を発表。今オフすでに、総額3600万ポンド(約88億円)の補強資金を費やしている。

 的を絞った補強で、今やプレミア屈指とも言える攻撃陣を揃えたリバプール。それでも、他クラブの補強状況を冷静に見守る指揮官のラファエル・ベニテス監督は、いまだタイトルレースの主役になれる力はないと自チームの戦力を分析している。

「リーグタイトルを獲得できるメンバーが揃ったかだって? それは何とも言えない。マンチェスター・ユナイテッドやチェルシー、そしてアーセナルも同じように戦力補強をしている。昨シーズン優勝したマンUが、どのクラブよりも補強に積極的なのだからね。この世界では何が起こるか分からない。何より一歩ずつ上を目指すことが重要だ。それに、我々はかなりのスピードで成長していると言えるだろう。いずれにしても、移籍マーケットで彼らと対等に争えるようになったことだけは事実だ」

 1989-90シーズン以来、国内リーグのタイトルから遠ざかっているリバプール。終始、控えめなコメントを続けるベニテスだが、潤沢な資金で磐石の布陣を整えつつあるのは事実だ。就任4年目を迎えるスペイン人監督にとって、来シーズンは言い訳の許されない勝負の年となりそうだ。