リバプール戦で開幕3戦連続スタメンの前田。すでにチームの重要戦力として奮闘している。(C)Getty Images

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 0-2で試合終了の笛が鳴っても、イプスウィッチの本拠地ポートマン・ロードには大きな拍手が響いていた。

 前田大然を含むイプスウィッチの選手たちは、スタンドの前をゆっくりと一周した。9月4日、ホームで迎えたプレミアリーグ第3節のリバプール戦。開始6分と、9分にスウェーデン代表FWアレクサンデル・イサクに連続でゴールを許し、そのまま0-2で敗れた。それでもサポーターは席を立たず、最後まで戦った選手たちを称えた。

 この日の公式マッチデープログラムの表紙を飾ったのは前田だった。青いユニホーム姿の背後には、大きな日の丸があしらわれている。スタジアムへ向かう途中にも、前田の加入を感じさせる出来事があった。

 イプスウィッチのグッズ売り場でマフラーを売っていた男性から、「値引きしているよ」と突然、日本語で声をかけられた。加入からまだ1か月余り。前田は早くも、ポートマン・ロードで存在感を確かなものにしつつある。

 その前田にとっても、リバプール戦は苦しい一夜だった。

 2点目を奪われると、左手で口元を覆い、やがて両手で顔を隠した。チーム全体が相手の圧力を受け、持ち味とする前線からのプレスも思うようにハマらない。前田が勢いよく追っても、リバプールは落ち着いてボールを動かし、簡単には捕まらなかった。

 それでも前田は前へ出る機会を探した。相手をスピードで抜き去ってペナルティエリア内でパスを受けると、体勢を崩しながらシュートも放った。29分には右からの低いクロスに反応してファーポストへ走り込み、ロナルド・アラウホに寸前でクリアされた。
 
 リバプールがペースを落とした後半は、イプスウィッチもボールを持つ時間を増やした。ただ、前田が試合の流れを変えるまでには至らず、66分にジャック・クラークと交代した。

 プレミアリーグ開幕から3試合。ここまでの前田を、現地ではどう見ているのか。

 地元メディアでイプスウィッチを追うアレックス・ジョーンズ記者に尋ねると、まず口にしたのは、その圧倒的な運動量だった。

「ダイゼンは非常に良いね。とにかく走る。ラン、ラン、ランだ。攻撃でゴール前にいたかと思えば、守備に戻って自陣の深い位置にいる。気がつけば、またスプリントして左サイドを駆け上がっている。チームに確かなエネルギーをもたらしているよ」

 彼の印象は数字にも表われている。

 プレミア初戦となったサンダーランド戦で、前田はチーム最多となる19回のスプリントを記録した。第2節マンチェスター・ユナイテッド戦までの2試合では、90分平均の走行距離が11.1キロでチーム2位。前線の選手でありながら守備にも深く関わり、セルティック時代から武器としてきた運動量を、新天地でも発揮している。