27年度第1四半期で「スタートダッシュ」に成功した企業が急増中!なかでも好調な銘柄5選を紹介

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TOPIX採用の3月期決算企業による2026年4-6月期の1Q決算がほぼ出揃い、近年まれに見る好発進となった。日本の上場企業の多くは3月を期末とする「3月期決算」を採用しており、4月から6月までの3カ月間の期間は「第1四半期(1Q)」にあたる。

リレー競技の第一走者にあたる1Q営業利益は全体ベースで前年同期比40%以上の増益となったほか、市場予想と比べても20%以上も上振れる順調な滑り出しとなった。じつに4分の3を超える個別企業が事前予想を上回り、好決算のオンパレードとなった。

一方で通期計画を分解すると、下期(26年10月―27年3月)については依然として慎重な見方を崩していない企業が多い。為替変動や原材料高などの不確定要素は多いが、10月前後に予定される第2四半期決算の発表前には業績の進捗が見渡しやすくなり、例年通り予想の修正に踏み切る企業も増えてくるだろう。慎重な計画の裏に隠れた「伸びしろ」をどう読むかが、投資家の次なる着眼点になりそうだ。

東京海上ホールディングス<8766>

8月14日終値7540円 配当利回り(予)3.25%

国内首位級の損害保険を中核としながら、生命保険、さらには海外の保険引受・運用を担う海外保険事業を三本柱とする体制を築いている。中でも海外保険事業は、欧米の再保険市場などの専門性の高い特殊分野を中心に高利益率を確保しており、グループ全体の収益性を押し上げる原動力となっている。

米国の投資大手バークシャー・ハサウェイによる約2.5%の株式保有は株価の強力な支援材料となろう。かつての商社株のように需給面から株価を押し上げる効果だけでなく、提携を通じてオーストラリアやカナダでの大型M&A(合併・買収)を推進する体制が整った点も大きい。バークシャーの資金力を活用した共同買収により、単独では難しい案件の獲得や、非保険領域である防災・脱炭素事業への積極的な投資余力が生み出される期待があるからだ。

同社は2030年3月期までに政策保有株式(取引維持目的の保有株)を「ゼロ」にする方針を掲げている。2027年3月期は4300億円規模の売却を予定しており、1Q時点で2354億円を実施済みだ。株価上昇に伴う売却資金は、成長投資に加えて自社株買いや配当還元へと充当される期待がある。15期連続増配に向けた視界は“良好”といえそうだ。

栗田工業<6370>

8月14日終値8456円 配当利回り(予)1.58%

工場や発電所で使う水処理装置や薬品を手掛ける水処理エンジニアリングの国内最大手企業。中でも半導体製造に欠かせない超純水(不純物をほぼ完全に取り除いた製造用水)の製造装置で高いシェアを持つ。半導体の微細化が進むほど水質管理の難易度は上がることから、同社の技術優位性はそのまま収益力に直結する構造だ。

2027年3月期第1四半期(2026年4ー6月期)の受注高は前年同期比77.1%増の1657億円と急増した。2Q以降の大口案件は落ち着く見通しだが、通期受注高は前年比21.9%増の5400億円に達する勢いだ。さらに売上高営業利益率は前年同期の9.6%から14.3%へ急改善しており、収益性そのものが着実に高まっている。立役者は「水売り事業」と呼ばれる継続契約型サービスだ。半導体メーカーの稼働率上昇に伴い超純水の使用量が増加したことで、利益率の高いストック収入の拡大をもたらしている。

電子産業からも需要は強まっている。降水量の変動や水温の上昇で渇水や水質悪化が起きると、工場の操業に影響を及ぼすためだ。世界的な電子部品増産と水リスク意識の高まりも成長ストーリーに加わりつつある。1Qに一時的な追加費用が発生したため株価は出遅れ気味だが、本業の増益ペースが再確認されれば、株価の水準訂正が進む期待は大きいとみる。

ダイダン<1980>

8月14日終値2770円 配当利回り(予)3.07%

空調や電気設備の総合エンジニアリングを手掛ける設備工事会社。高い施工能力を有しており、半導体工場やデータセンターといった高付加価値の設備投資案件を数多く手掛けている。資機材価格や人件費の高騰に対して発注者への価格転嫁を円滑に進めるとともに、工場であらかじめ部材を加工するオフサイト施工などで高い施工効率を実現している。

2027年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益は前年同期比12.2%増の112億円となり、通期計画365億円に対する進捗率は30.9%と5年平均の14.0%を大きく上回るスタートダッシュをきめた。売上総利益率(売上に対する粗利益の割合)は26.7%に達し、会社側の通期計画である22.6%を大幅に上回っている。会社側が想定する2Q以降の利益率(21.3%)は極めて保守的とみられ、今後の業績上方修正の余地は大きい。

手持工事高(将来売り上げになる受注残高)も前年比27%増の4503億円と豊富であり、選別受注による採算向上が続くだろう。10月の2Q決算で豊富な工事進捗と高い利益率の維持が確認されれば、配当還元方針に基づく増配が期待できる。自己資本比率は56.2%まで改善しており、財務基盤の安定性も投資判断を後押しする材料となりそうだ。

東洋紡<3101>

8月14日終値1628円 配当利回り(予)2.46%

2031年3月期に向けた新中期経営計画では、積層セラミックコンデンサー(電子回路の主要部品)向けフィルムに加え、人工透析用の中空糸膜や診断薬原料といったバイオ・メディカル領域を新たな重点事業として設定。事業別ROA(事業用資産に対する営業利益率)8%をハードルに「選択と集中」を進めている。

2027年3月期第1四半期(2026年4ー6月期)の営業利益は前年同期比28%増の71億円となり、市場予想を上回る好決算となった。中東情勢の緊張化に伴う原燃料コストの上昇や人件費増に対し、高付加価値製品への転嫁を進めてカバーした。悪材料は出尽くしたとみられるが、前期比17.6%減を見込む通期計画230億円は、1Qの勢いとは対照的な見通しだ。見直し余地は大きいと考える。

積層セラミックコンデンサー(半導体集積回路の働きをサポートする小型部品)など、AIサーバー向け需要に沸くフィルム事業の急拡大は、同社の収益構造を変えつつある。三菱商事との環境・機能材事業合弁会社「東洋紡エムシー」とのシナジー効果や、価格転嫁力の高さも収益力を下支えしよう。重点事業への資本集中投下が進むことで、中期経営計画で目標に掲げるROE(自己資本利益率)8%超が視野に入れば、PBR(株価資産倍率)の是正を伴う株価の再評価が期待される。

ブラザー工業<6448>

8月14日終値4744円 配当利回り(予)2.11%

プリンターや複合機を扱うP&S(プリンティング・アンド・ソリューションズ)事業と、工作機械を扱うマシナリー事業を二本柱とする精密機器メーカー。2027年3月期第1四半期(2026年4ー6月期)の営業利益は前年同期比3.5倍の546億円と力強い着地となった。関税還付による一過性要因(141億円)を除いても市場予想を大幅に上回り、名実ともに2期連続の最高益更新を早くも射程圏内に収めたと言える。

P&S事業のインク等の消耗品販売が極めて絶好調だった。本体販売よりも粗利率が高いインクやトナーなど消耗品販売の積み上げが、業績の安定性を支える収益構造になっている。また、マシナリー事業もAIデータセンター向け等の需要増加による追い風を受けて、工作機械の事業利益が 44 億円と高い水準を維持している。

1Q時点の通期営業利益計画に対する進捗率は61%に達している。通期計画では、中東情勢や部材価格高騰に加えて樹脂等の供給制約など、事前の下押しリスクは存分に盛られている印象だ。全てのリスクが顕在化する可能性は低いとみられ、上振れ余地は非常に大きい状態にある。配当政策は1株当たり年間100円の配当を下限に配当性向40%を目安に掲げており、増配余地も大きい。

高砂熱学工業<1969>

8月14日終値4338円 配当利回り(予)2.84%

半導体・データセンター関連の設備投資需要を取り込み、初の受注高5000億円超えを狙う高砂熱学工業は、空調設備工事の国内最大手だ。特許保有件数の多さに裏打ちされた高い技術力を強みとし、半導体工場やクリーンルーム(高度な清浄度が求められる生産施設)、データセンターなどの先端分野の大型案件でも優位な価格交渉力を発揮できる環境を整えている。

2027年3月期第1四半期(2026年4ー6月期)の営業利益は84億円となり、売上総利益率の向上によって市場の事前予想を上回った。インドにおける前年同期の大型案件受注の反動減などから前年同期比では減益となったが、好採算なリニューアル工事(改修工事)を同56%増へシフトさせた選別受注が奏功している。なお、通期では500億円(前期比4.7%増)と、2期連続で最高益を更新する見込みだ。

1Q末の繰越工事高(将来の売上となる受注残)は4332億円と過去最高水準を更新しており、目標とする5000億円の達成確度は濃厚だろう。生成AIの急速な普及に伴うデータセンター(DC)の新規建設や、半導体工場の新増設において、サーバーの発熱を抑える高度な空調・冷却設備は不可欠だ。後半に向けて収益性が一段と高まる構造が垣間見える。

3月期決算企業1Q決算では、想定以上に力強い日本企業の収益基盤が示された。下期に向けた価格転嫁の進展や高採算事業の貢献が確認できれば、通期予想の上方修正とともに株価のさらなる再評価が進む期待は大きい。

(宇野沢茂樹・和光証券(現みずほ証券)でデリバティブ業務に従事後、投資情報会社フィスコ、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」キャスターなどを経て、現在はエンジニア(Python,SQL)としてDX支援にも参画。日本証券アナリスト協会検定会員。)

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