過去には靖国参拝をしないと「相手がつけあがる」と強気発言も…高市首相が“終戦の日”に参拝見送り 識者は「信念というより“保守票が欲しかっただけ”と批判されても仕方がない」
8月15日土曜「終戦の日」、靖国神社に高市早苗首相の姿はなかった──。衆議院議員の岸田文雄氏は2021年10月から24年10月まで首相を務めた。第1次岸田政権が発足した際、党三役の政調会長には高市早苗氏が就任した。その高市政調会長は22年2月、都内で開かれた「靖国神社崇敬奉賛会」主催のシンポジウムに出席したところ、「もし首相になったら靖国神社に参拝するか」と質問された。(前後編の前編)
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これに高市氏は「日本国のトップになるようなことがあったら、ずっと参拝を続けたい思いだ」と強い想いを明らかにした。

さらに「途中で参拝を止めたり、中途半端なことをするから相手がつけあがる面はある。どんなに批判されても淡々と続ける」とも発言した。
歴代首相の靖国参拝に厳しく抗議してきた中国などを念頭に、あえて「つけあがる」という挑発的な言葉を選んだ。参拝にかける並々ならぬ決意を表明したと受け止められた。
ところが8月12日、時事通信は「高市首相、靖国参拝見送りの公算 終戦記念日、外交を考慮」との記事を配信した。
なぜ見送ったのか、理由について時事通信は「首相周辺」など複数の関係者に取材した結果として《韓国との良好な関係や、11月に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議など秋以降の外交日程を考慮した》と伝えた。
では高市首相が靖国参拝を見送ったことを“ネット世論”はどう受け止めたのだろうか。担当記者は「Xを見てみると興味深いことに、保守派とリベラル派の両方から『現行不一致』と批判されています」と言う。
右派も左派も批判
「保守派のユーザーは『首相になっても靖国を参拝するのは“公約”だったはず。言行不一致は非常に残念だ』と高市さんに苦言を呈しています。一方、リベラル派のユーザーは『首相になれば簡単に靖国参拝できないことは分かっていたはず。なぜ、あれほど強気の発言を繰り返したのか理解に苦しむ。これでは“口だけ番長”、“言うだけ番長”だ』と批判しています。基本的に高市さんは保守的な政治スタンスが有権者から評価されてきました。ところが今回の参拝見送りに関しては左派だけでなく右派も疑問視しており、非常に興味深い“ネット世論”の反応だと言えます」(同・記者)
2024年8月14日、当時の岸田首相は記者会見を開き、自民党総裁選には出馬しないことを表明した。
翌15日、自民党の保守系グループ「保守団結の会」の所属議員は靖国神社を参拝した。この中には高市氏も含まれており、新聞やテレビは「会の顧問を務める高市早苗・前経済安全保障担当相は終戦の日、靖国神社を参拝した」と報じた。
高市氏は記者団に対し「たくさんの方が国策に殉じられ、尊崇の念をもって哀悼の誠をささげた。また、ご遺族の方々が健やかでありますようにとお祈りをした」と靖国参拝について説明した。
そして9月9日、高市氏は国会内で記者会見を開き、総裁選に立候補すると表明した。
「私の信仰心は変わりません」
記者から靖国参拝について質問されると「国策に殉じられ自分たちの祖国を守ろうとした方に敬意を表し続けることは希望するところだ」と回答。首相になっても参拝を続けるとの考えを改めて示した。
その後、高市氏はBS日テレの「深層NEWS」に出演。やはり靖国参拝について質問されると「私にとっては大切な場所でありますし、私の信仰心は変わりません」と変わらぬ信念を披露した。
この「深層NEWS」には政治アナリストの伊藤惇夫氏がゲストとして出演。高市氏に直接、A級戦犯合祀問題に関する見解などを質問している。ちなみに番組はYouTubeの「日テレNEWS」チャンネルで現在も視聴することが可能で、高市首相の靖国参拝を考える上で重要な“資料”となっている。
改めて伊藤氏に取材を依頼すると、「番組で高市さんが『首相になっても靖国神社に参拝する』と断言したことを鮮明に記憶しています」と振り返る。
「ところが実際は、8月15日の参拝を見送ったわけです。発言と行動が一致しなかったわけですから、そうなると『あの発言は一体、何だったのか?』と改めて考えざるを得ません。そして思い浮かぶのは、『やはり高市さんは真性の保守政治家ではなかったのだな』という結論です」
永久に参拝できない首相
伊藤氏は「厳しい表現をすれば“偽装保守”ということになるでしょう」と言う。
「高市さんの政治家としての歩みを振り返ると、やはり『安倍さんの歓心を得ようとして保守政治家としてのスタンスを意識した』という点が浮かび上がります。2024年の総裁選で靖国参拝を公約に掲げたのも、保守政治家としての信念を披露したというよりは、自民党の保守票が欲しかったからだ、と批判されても仕方ないと思います」
昨年11月の国会で、高市首相は「中国による台湾有事が発生した場合、日本の存立危機事態になり得る」と答弁した。
伊藤氏は「もし台湾有事の発言がなければ靖国神社に参拝できたのか、高市さんに質問してみたいですね」と言う。
時事通信は高市首相が参拝を見送った理由として「中国との関係悪化」だけでなく「韓国との友好維持」も報じている。
隣国との関係が悪化している場合だけでなく、良好であっても参拝できないのなら、高市首相は永久に靖国神社へ参拝できないことになる。
高市首相は靖国以外でも“国民的な議論”を巻き起こしている。7月に成立した改正皇室典範の問題だ。
伊藤氏は“高市政治”の本質を考えるにあたり、外交姿勢に注目する。特に“安倍外交”と比較すれば、彼女の本質が見えてくるという。
後編【8月15日の靖国参拝を見送り、皇室典範改正は大急ぎ…高市首相の“矛盾”について識者は「安倍首相と比較するとその差は歴然」と指摘】では、高市首相の本質についてお伝えする──。
デイリー新潮編集部
