北中米W杯いよいよ開幕! 第1戦【鉄壁のオランダ】世界最高峰のセンターバック
第1戦 オランダ(FIFAランキング7位)放送日時:6月15日朝5時〜 NHK、BSP4K
【注目選手】フィルジル・ファン・ダイク(34)伝統あるオレンジ軍団を束ねる世界最高峰のセンターバック
「花嫁の脇役」--ヨーロッパサッカー界の一部で、オランダ代表はそう呼ばれている。過去11回W杯に出場して、準優勝3回、ベスト4が2回という強豪国ながら、優勝経験がない。それが「脇役」と呼ばれるゆえんである。
しかし、今大会のオランダ代表はひと味違う。最大の武器は″守備力″。世界最高レベルのイングランド・プレミアリーグ所属の選手が過去最多の15人も選出されているのだ。前回のカタール大会が3人だったことを考えれば、大きな飛躍だ。そしてその半数近い7人が、プレミアリーグでディフェンダーとしてプレーしている。
キーマンは守備の中心で、名門『リバプール』と代表の両方でキャプテンを務めるファン・ダイク(34)。空中戦に強く、今季のプレミアリーグではたった2回しかドリブル突破を許しておらず、ピンチの回避回数を表す「クリアー数」も全選手中1位を誇る世界最高峰のセンターバックである。
左サイドには過去10年間のプレミアリーグで最も多く優勝した『マンチェスター・シティ』所属のナタン・アケ(31)が入る。ディフェンス陣の個々の能力が極めて高いのだ。
攻撃では″絶対的な高さ″が日本の脅威となる。実はオランダは平均身長が世界一高く、男子に限れば平均約184cmという驚きのデータがある。そんな強みを象徴する選手が188cmの長身を誇る右サイドのディフェンダー、デンゼル・ドゥンフリース(30)だ。イタリア王者『インテル・ミラノ』所属で、空中戦の競り合いにめっぽう強く、その特徴は代表の貴重な攻撃オプションとなっている。攻撃参加時、彼を高い位置に押し出し、左サイドからクロスボールを送ってヘディングで競らせるパワープレーはかなり厄介だ。
では、日本に勝ち目はないのかというと、そうではない。心強いデータがある。ロナルド・クーマン監督(63)が’23年に就任して以降、オランダはFIFAランキングが25位以内のチーム(日本はFIFAランク18位)に一度も勝っていない。
さらに、日本が採用する〈3-4-3〉のフォーメーションを苦手としている。彼らはW杯最終予選の8試合でわずか4失点しかしなかったが、その失点はすべて〈3-4-3〉のチーム相手に喫したもの。日本は、攻撃時に両ウイングが上がることで最前線に5人が並ぶが、オランダの最後尾には4人しかいない。ゴールに近いエリアで人数のミスマッチが起きやすく、オランダはいまだ対応するための最適解を導き出せていない。
三笘不在が強みに
日本のキーマンには右シャドーという2列目のポジションに構える身長173cmの久保建英(25)を挙げたい。W杯直前の国内合宿で取材陣を前に「デカい選手に僕のカットイン(からの攻撃)を止められたことはないので、相手がデカいほうがありがたい」と語ったように、久保のスピードを活かしたドリブルは有効な武器となる。右サイドでコンビを組む堂安律(27)とのコンビネーションで、相手守備陣のミスマッチの隙を突きたい。
高さを使った攻撃にも対抗策はある。左アウトサイドに伊藤洋輝(27)や鈴木淳之介(22)のような守備的な選手を起用してカバーするのだ。もともとは三笘薫(29)のポジションだが、負傷を理由に代表選出されなかったのは周知の通り。これが怪我の功名となることを期待したい。
大会初戦であるため、両チームとも慎重に戦う可能性が高い。連携不足はあるとはいえ、守備陣の能力が世界トップレベルにあるオランダだけに、簡単にゴールを割らせてはくれないだろう。久保を中心とした日本の攻撃が有効だとしても、1点を争うような拮抗した試合になることは間違いない。理想のスコアは1-0での勝利だろうか。
史上最強と言われる森保ジャパンは、本当に日本サッカー界の歴史を動かすことができるのか。この一戦は、間違いなくその試金石となる。
『FRIDAY』2026年6月19日号より
取材・文:ミムラユウスケ(スポーツライター)
