お見送り芸人しんいち＆ZAZY喧嘩の歴史「ホンマに嫌いやった」「一秒でも一緒にいたくなかった」
──『ホントは喋りたくない！』の第21回で過去を回想していましたが、互いに「いつか殺してやろう」と憎しみ合っていたところから、よくぞこの約2年で一緒にラジオ番組を始める間柄までに発展したよね。
ZAZY 本当に。自分でも驚いてます。なんでこうなったんでしょうね？
しんいち やっぱM-1に出ることになったんが、一番大きいんかな。ホンマに嫌いやったのが、一緒に過ごしていく中、マジ二人で勝ち上がっていきたいという気持ちになっていって。
──お二人の関係の始まりは2022年の『R-1グランプリ』を機に勃発した、しんいちさんの「芸歴違反疑惑」での諍い。そこから「ストレス」結成に至ったかを改めて経緯についてうかがえれば。
ZAZY 最初に大ゲンカしたのは、スピードワゴンさん司会の『スピードワゴンの月曜The NIGHT』（ABEMA）という番組でした。『R-1』翌日に、出場者を集めて大会を振り返るという企画で。
しんいち この時点でお互いが「バチバチにシバキたいモード」に入っていたので、楽屋でも一切目も合わさんでいたんです。そんで本番、僕の席の後ろにZAZYが座ることになって。番組内でヤイヤイやり合っていたら、急にコイツが僕を蹴ってきたんです。その瞬間ブチギレて、ガチのシバキ合いになりそうになったんです。それを見たスピードワゴンさんが爆笑して、「これは俺らではもう無理。『さんまのお笑い向上委員会』に持っていこう！」と、言ったというか、匙投げられたというか(笑)。
ZAZY 僕としても、この人をちゃんと裁いて欲しかったんで、「『向上委員会』の皆さん、お願いします！」ってツイートしたら、ホンマに「次の収録に来てください」ってすぐに決まったんです。
──まさに鉄は熱いうちに打て！のままXデイを迎えた。
二人 （口々に）あれを良い状態と言っていいのか(苦笑)。
しんいち 結局『向上委員会』に出てもバチバチのままで、それを本番でバチバチやったら、全然オチなかったんです。最初ウケたのに、だんだんスタジオの空気が悪くなってきて「お前ら、いいかげんオチつけろ！」状態になったんです。追い詰められ苦し紛れに僕が「M-1に一緒に出たい」と言ったのが全ての始まりで。
ZAZY 僕としても、ここで「やろう」と言わなきゃ終わらへんという状態でした。
しんいち お互いに、そう言わな！という空気の中で言い出したら、（明石家）さんまさん、今田耕司さんに「やろう！」と背中を押されて。
──お二人のやりとり、ある程度の「演出」と捉える人も少なくなかったと思うんです。本当に誇張なく大嫌いだったと。
二人 マジでしたね。
しんいち マジやから、あんだけ面白がられたんだと思うんです。
──よくぞ、ここまでガソリンに火が点いた状態のまま、M-1出場にこぎつけましたよね。
しんいち 正直初期はネタ合わせになりませんでしたね。「なんで嫌いなヤツが書いてきたネタ、やらなアカンねん！」という状態。
ZAZY 僕としても、ネタ合わせやろうとなっても、「帰るわ、これからコンパあるから」って言い出すんで、まさに“ストレス”でした。ホンマひどいですよ。
しんいち 言い訳でゴメンやけど、一秒でも一緒にいたくなかったんよ（苦笑）。
──M-1前には『水曜日のダウンタウン』で、しんいちさんのR-1トロフィー破壊ドッキリもあって。
ZAZY あの時の僕は、全部が全部、もうこの人のマイナスになることしか考えていませんでしたね。ドッキリ前日に、この人のプライベートを全部掘りましたから、「誰とHしたか」とか「何股している」とか。
しんいち あれから週刊誌に張られる日々ですよ(苦笑)。
ZAZY これに関しては僕に感謝してくださいね。あの企画キッカケで、あなたは今のクズキャラが確立できて、そのクズキャラで仕事たくさんもらっているんですから。日頃から僕に奢ってくれてもいいぐらいのこと、しましたからね。
しんいち ちょっと待って！ 飯行くとき、いつもメッチャ奢っているやん！そもそも、お前もCMとか出てメッチャ稼いでたやろ。R-1後、大阪の放送局さんに仕事に行ったとき、梅田の街にZAZYのポスターがどかーん！と貼ってあって。優勝者の僕には、CMもなんもない。街中でZAZYの姿を見る度にメッチャ腹立って、ホンマのストレスが溜まる一方やったから。
──アハハ。ただ二人が憎しみを募らせる一方で、世間は二人の共演を求めていました。
ZAZY そうなんです。スケジュールを確認すると「しんいちと一緒」の文字が、ズラーッ！と並んでいて。
しんいち あの時期、エグかった！ ピン芸人の大会の優勝と準優勝やのに、ずっと二人で一組みたいな扱いばかりやったもんな。
ZAZY 今日は一人や！と思っていたら、乱入してくるパターン、メッチャあった。
──2022年12月開催のZAZYさんの単独に向け、ストレスは解散か？存続か？の二択を取った時は、解散が上回りましたよね。面白半分の結果としても、あまりウェルカムな状況ではありませんでした。
しんいち この頃、ZAZYのことスキスキ！という人らが、僕のことめちゃくちゃキライで。悪口言われるたびに「やめたらあ！」って、ムカつきまくっていたんです。ただ、ファンの人までキライになるのはアカンなあって。逆に僕のファンはZAZYに文句を言うしで、ホンマ良いことない。
ZAZY 「しんいちさんを悪く言わないでください」、「もう共演しないでください」って言われてましたね。
──ファン同士で深い溝ができるのは良くない状態ですね。
しんいち こんな状態が続くなら、僕としてはホンマに終わってもいいかなって思っていましたね。
ZAZY 僕、未だに「共演するな」と言われますから。
しんいち マジで⁉ 今でもおるん？
ZAZY 「ZAZYさんは好きですが、しんいちさんがキライなので、『ホンしゃべ』は聞いていません」って。
しんいち 聞けや！ 一回でも再生数増やせや‼ 聞かんでええから、音消して流しっぱなしにしとけ！
──アハハ。本当にM-1という細い一本の糸だけでつながる関係が変わっていくのは徐々にですか？
ZAZY 大きなことはないんですよ。気づいたらイヤではなくなっていましたね。
しんいち なんやかんやズルズルと二人での仕事をやっていくうちに、僕は吉本の方と共演する機会が増えていって。ZAZYと同期のビスケットブラザーズのはらちゃん（原田泰雅）と飯行ったりして、ZAZYと仲の良い芸人に話を聞くと、ZAZYって芸人仲間から嫌われているってよくイジられているのに、本当はちゃんとみんなからおもろがられてるんやって知って。
ZAZY ホンマに嫌われていると思っていたんですか？
しんいち ホンマに嫌われとけ‼ と思ってた。
一同 (笑)。
しんいち まあまあ、これからM-1を本気でやっていくなら、コイツを知っとかな損やと思って、ネタも雑誌のインタビューとかまで見始めたんです。これまでは正直、顔見るだけでチャンネル変えたりスキップしていたんですよ。
ZAZY 徹底しすぎやろ！
しんいち 徹底するよ、そら。けど、「これ、俺には絶対に出せへんなあ」というセンスはずっと感じていて。改めてちゃんと見るとやっぱおもろい。俺にはないセンスの部分をZAZYに頼みたいわあ……っていう感情が生まれていきましたね。
──ZAZYさんは2023年の『R-1』終わりごろに、しんいちさんへの想いを長文でしたためたものをXにアップしていましたよね。
ZAZY はい、バズったヤツですね。「1年間ありがとう」って。
しんいち あったなあ！
──内容をかいつまむと、「しんいちさんがケンカを売ってくれたことで、自分の中の扉が開いた」というものでした。
ZAZY あの時は新チャンピオンが生まれたので、この2人で出ることはもうなくなるなと思ったんで……最後に僕の好感度を上げておこうって。
しんいち ホンマにこいつは……(苦笑)。
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