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 ◇大相撲九州場所 4日目(2024年11月13日 福岡国際センター)

 平幕・熱海富士が初日から4連勝とした。過去5戦全勝と合口のいい翔猿を寄り切り、念願の新三役昇進へ、これ以上ないスタートを切った。きょう5日目は過去3戦全敗の新大関・大の里に挑む。その大の里は阿炎のすくい投げに逆転負けし、初黒星。大関・豊昇龍は宇良を上手投げで退け隆の勝、阿武剋とともに4連勝は4人となった。

 1分近い大相撲になった。後頭部へ右手をかけ、引く動作を見せたのが転機だった。熱海富士は思い直したように前傾して体重をかけ、右をねじ込んだ。左は翔猿の右腕を抱え、得意の右四つから出た。昨年の九州場所以来の初日から4連勝。「(今場所)まだ残りがあるので」と言葉少なだったが、8本の懸賞金を両手で大事そうに受け取った。

 昨年秋、九州場所は11勝し、いずれも優勝争いに加わった。だが年が変わって潮目も変わってしまった。自己最高位の西前頭筆頭まで番付を上げた今年初場所以降は6、8、7、7、7勝にとどまった。念願の新三役をつかめないまま一年納めの場所を迎えた。

 「1月から(新三役を)決めると言って11月まで来てしまった。何とか頑張って上がりたい」。場所前、そう危機感を語った22歳は、先場所までの銀から新十両の一昨年春場所から昨年九州場所まで使用した赤の締め込みに替えた。2度の優勝争いも経験したゲンのいい色に戻し、強い熱海富士が帰ってきた。

 5日目は苦手とする大の里戦。土俵下の高田川審判長(元関脇・安芸乃島)は「じっくり攻めるとは相当調子がいいのだろう。この後も楽しみだ」と期待する。西前頭3枚目から新三役昇進が有力視される10勝へ、まだまだ止まるわけにはいかない。