「美女と野獣」の演技で疾走感あるスケーティングを披露した三浦佳生【写真:荒川祐史】

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GPシリーズ第4戦・NHK杯

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯は10日、東京・代々木第一体育館でエキシビションが行われ、各スケーターたちが観客を魅了した。男子シングル6位の三浦佳生(オリエンタルバイオ)は、ベストエキシビションパフォーマンス賞を受賞。前日のフリーで不本意な演技に気落ちしたが、この日の会見では落ち着いた様子で「もう、丁寧に行くのやめようと思っています」と、再出発へ前を見据えた。

「美女と野獣」を演じた三浦。転倒などはありつつも、疾走感あるスケーティングを披露した。終盤のジャンプは着氷を続け、集まった4478人から拍手を浴びた。

 フィナーレでは、ベストパフォーマンス賞に選ばれ「この日のために僕は頑張って来ました。試合もボロボロだったので、ここで爪痕を残すことができてすごく嬉しいです。ありがとうございました!」と冗談交じりに感謝。会場を盛り上げていた。

 8日のSPでは自己最高となる102.96点をマーク。会心の演技を見せたが、翌日のフリーでは一転してミスを連発。ジャンプが決まらず、合計240.38点。2位から6位に順位を落とした。

 直後の取材では「何も考えられない」「ただ実力がないだけ」と肩を落としたが、一夜明けて少し、整理できてきた。「まだショックが大きいのと、NHK杯で結果を残したかった。悔しさが残っている。ただ、早く切り替えないといけないので」。全く眠れなかったという前夜。問題点を確認した。

「冷静に判断して、ジャンプに入っていけたと思うんですけど、リズムがちょっと違ったかなと。逆に慎重になりすぎたかなと印象がある。映像を見返してもそういう感想を持ちました」

 ジャンプの軸が外れていた感覚が強く、「なかなか練習であの失敗はない。試合オンリーで、余計にびっくりした部分もある」と正直な思いを明かす。「技術的な問題はそこまで不安がない。ただ、この演技で全日本に行くことにすごく不安がある。どうしたらいいか、ゆっくり考えていければ」と話した。

 カギは、自分らしさを取り戻すこと。思い切りの良さがその一つだ。「少し守りに入って、パンクしないように、確実に跳ぼう、丁寧に行こうという意識があった。持論ですけど、自分は丁寧に行かない方が逆にいいジャンプを跳べている印象がある。もう、丁寧に行くのやめようと思っています」。置きに行かず、全力で。全日本選手権で、その姿にたどり着く。

(THE ANSWER編集部)