中日・柳裕也は捲土重来を誓う 異例の秋季キャンプ参戦からにじみ出る「覚悟」

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井上新監督の下、柳は一からリスタートする(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext

 中日は11月9日より沖縄で秋季キャンプを行う。

 同地で2年ぶりに実施する秋季キャンプは投手10名、野手12名の計22名が参加予定。井上一樹新監督の言葉を借りると「とことんやってみなさい」「1回追い込んでみなさい」と、成長を見込む若手主体のメンバーで構成された。

 その中で1人、異例の参加者がいる。背番号17、柳裕也だ。

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■今季は初の開幕投手から暗転

 柳といえば、近年の中日投手陣を支え続ける中心選手。2021年には最優秀防御率と最多奪三振の二冠、ベストナイン&ゴールデン・グラブ賞に輝いた。それほどの右腕がなぜ秋季キャンプに参戦するのか――。答えは今季の投球内容にあった。

 春のキャンプ、オープン戦で順調に調整を進めると、立浪和義前監督から開幕投手に指名された。意気に感じるタイプの柳は、ヤクルトとの開幕戦(3月29日)で5回2失点。勝ち負けはつかなかったが、自身初の大役を無事に済ませた。

 2度目の登板、敵地・マツダでの広島戦(4月5日)で今季初勝利を挙げると、本拠地初登板の阪神戦(同12日)でも7回無失点の快投。3度の登板終了時点で19イニング自責1、防御率0.47と抜群のスタートを切った。

 暗転したのはその次の登板、ヤクルト戦(4月18日)だった。中5日で先発した柳は4回途中6失点でKO。チームも5-11の大敗を喫し、この試合から5連敗。首位の座を明け渡し、シーズン閉幕までそのまま浮上することはなかった。

 開幕投手に指名した立浪前監督は、3年連続最下位の責任をとり退任。柳自身も交流戦前までローテを守ったものの、徐々にイニング数が減り、打ち込まれる場面も増えていった。結果、わずか13試合の先発、防御率3.76に終わり、節目の30歳シーズンは不甲斐ない成績に沈んだ。

■沖縄キャンプでは「キャプテン」に

 新たに監督に就任した井上新監督は、今季2軍の指揮をとっていた。柳も後半戦は2軍暮らしが続き、図らずとも少しだけ早く「指揮官と選手」の関係を醸成していた。

 そこにきて、今回の沖縄キャンプ参戦だ。地元テレビ局のインタビューによると、井上新監督が「一からやり直そう」と沖縄行きを打診。柳も「もう行くつもりです。僕がキャプテンです」と呼応。異例のメンバー入りと相なった。

 柳のキャプテンシーや発信力は広く知られており、チーム内外に好影響を波及する。キャリアの絶頂から曲がり角に差し掛かるタイミングで鍛え直すその姿は、きっと若手から中堅の選手にも発奮材料になるはずだ。

 チーム、そして柳自身の捲土重来が沖縄から始まる。

[文:尾張はじめ]