堀江被告(資料写真:常井健一)

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ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告の第24回公判が21日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれ、前回に引き続いて検察側による被告人質問が行われた。堀江被告側は、証拠を提示せずに質問する検察側の手法に激しく反発。双方が激高する展開となった。

 被告人質問の冒頭で、弁護側の高井康行弁護士が発言を求め、検察側が前回公判で取り上げた貸し株料授受に関する尋問について、公判調書から削除するよう要求。「検察側は何の証拠も提示しておらず、読み上げただけだ。このような質問の仕方は事案の証明を証拠によって明らかにしようとしているのではなく、被告人を有罪にさえすればいいと腐心している検察の態度の表れだ」と強く訴えた。

 これに対して検察側は「(堀江被告が『貸し株料に興味がなかった』という)うその供述をして、(前回の検察側尋問との)整合性を保てなくなったから証拠を排除しようというものだ」と主張。後日、書面で釈明することになった。

 その後、堀江被告が社内の組織変更についてLD元代表取締役、熊谷史人被告=分離公判中=と交わしたとされるメールについても、検察側は堀江被告に提示せずにメールを読み上げて質問したため、高井弁護士が「(証拠を)見せないなら答えない」と黙秘権の行使を通告した。

 堀江被告も「無駄なやり取りをしていても仕方がない」などと大声で主張。検察官も「ここは私が質問しているのであって、あなたの要求を聞くところではない」と反発した。双方が応酬したところで、裁判長が「じゃ、ここで休廷に」と述べ、昼休みに入る一幕もあった。

 また、検察側は、04年2月に開かれた04年9月期・第1四半期決算説明会の際の堀江被告の発言を取り上げ、イーファイナンス事業について「中身も知らないで説明していたのか」「その程度の説明でいいと思っていたのか」と追及した。堀江被告は「その程度と言われると雑な説明と思われるが、イーファイナンス事業だけではないか」「全体の説明を出してもらいたい。イーファイナンスだけを取り出して揚げ足を取る、いや、揚げ足じゃないな。いいかげんにしてほしい」と激しく反論した。

 この日は被告人質問に先立って、裁判所が職権で証人採用した伊藤眞・慶応義塾大学商学部教授(会計学)が出廷。検察側による尋問で、争点となっている自社株売却益の会計処理について「その他の資本剰余金になる」と述べ、売り上げ計上できないとする検察側の主張に沿った証言を行った。

 次回公判は28日。弁護側による伊藤教授への尋問のほか、堀江被告への再主尋問、補充尋問が行われる予定。【了】

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