従来のミニとはだいぶ違うイメージだけれど、それでもミニとすぐわかるフロントマスク

大人4人でも楽ちん

新型車、ミニ・エースマンが2024年6月に発売され、10月にメディア向け試乗会がコペンハーゲンで開催された。エースマンの特徴は、ピュアEVであることと、ボディサイズがコンパクトなことだ。
最新のミニのモデルは、23年発売のミニ・カントリーマンと、24年のミニ・クーパー。荷室が505リッターと機能的なカントリーマンと、いっぽうでスポーティな走りのクーパー。それらに対して、エースマンは全長4080mmと市街地での取り回しのよさがうたわれている。
4080mmの全長は、トヨタ・ヤリスクロス(4180あるいは4200mm)より短い。いっぽうホイールベースは、ヤリスクロスの2560mmに対して、2605mmとエースマンのほうが長い。
エースマンは、数字でみるとコンパクトだけれど、観た目の存在感は意外に大きい。変形ヘッドランプや大きなグリルの輪郭、さらに張りだしたイメージの前後フェンダーや、長めの前後長をもつルーフなど、要所要所を強調したデザインのおかげとみた。
さきに触れたとおり、燃料タンクをはじめ動力系のパーツが少なくできる電気自動車の利点を活かして、全長に対して長めのホイールベースによるパッケージングのよさが使い勝手のよさになっている。4人の大人が楽ちんに座っていられるのだ。

従来のミニとはまた違う絶妙なハンドリング

大きく張りだした印象のリアフェンダーが魅力的に見える角度

コペンハーゲンの街中で走ったコースは、狭い路地がなかったので、本来の狙い(?)まで感じることは出来なかったが、4mそこそこの全長に対して広い室内、という組合せだけでも、日本の路上によく合いそうだと感じた。
走りのほうは、バッテリー駆動のEVなので、ごく低速からしっかりとトルクが出る。エースマンは、パワーのある「エースマンS E」(最高出力160kW、最大トルク330Nm)と、「エースマンE」(135kW、290Nm)の2モデルがラインナップされている。
「S」は54.2kWhの容量をもつバッテリーを搭載し、一充電走行距離は414km(WLTC)。スタンダードモデルは42.5kWhのバッテリーで、327km走るとされる。
パワーはしっかり出るけれど、いきなりドンッとトルクが立ち上がるような設定ではない。カントリーマンと同様、加速はなめらか。すーっとトルクが立ち上がって、それが気持ちよく続いていく。高速でも速い。
ハンドリングは、運転しやすさに重点を置いた感じ。かつて「ゴーカートフィーリング」をセリングポイントにした頃のミニとも違い、落ち着いた操舵感覚がよい。かといって”なまくら”な感じはなくて、カーブを曲がっていくときも、ドライブしている私の意のまま。うまいバランスなのだ。

ドライバーを楽しませるインテリア

ユニークな丸形のモニターはカントリーマンとクーパーと共用

さきにインテリアの話をしたが、スペースに余裕があるだけでなく、意匠がユニークで、居心地もよい。色づかいがおもしろくて、私の乗った車両は、基本はブルーで、そこにバーミリオンが挿し色のように使われていた。
色づかいだけでなく、車内の素材もじつによい。ダッシュボード全体はニットのような質感のファブリックに覆われ、ここもブルーにバーミリオン。しかも円形モニターを操作してドライブモードを切り替えると、それに応じて車内各所の照明の色も変わるという凝りかた。たのしい。
電気自動車では、充電など車内にいる時間が長めになる傾向があるので、過ごしている間を快適でたのしいものにしたい。ミニと、親ブランドのBMWは、このところ、さまざまなコンセプトを手がけている。そのひとつの成果が、エースマンかもしれない。少なくとも渋滞に巻き込まれても、行き詰まるような気分にはならなそうだ。

荷室容量は後席シートを立てた通常の状態で300リッター

SPECIFICATIONS
ミニ エースマン E|MINI ACEMAN SE
ボディサイズ:全長4080×全幅1755×全高1515mm
ホイールベース:2605mm
駆動方式:FWD
最高出力:160kW(218PS)/7000rpm
最大トルク:330Nm/50-4500rpm
バッテリー:リチウムイオンバッテリー
バッテリー総電力量:54.2kWh
一充電走行距離:414km(WLTCモード)
価格:556万円
https://www.mini.jp/