横浜流星の恋愛ドラマが観られる喜び 『べらぼう』前の『わかっていても』は間違いなく必見
横浜流星がABEMAオリジナル連続ドラマ『わかっていても the shapes of love』に出演することが発表された。
参考:横浜流星、『わかっていても』リメイク作で3年ぶり恋愛ドラマ出演 ABEMA&Netflixで配信へ
10月31日の発表、そして12月9日から配信されるというこのスピード感に驚いた人も多いのではないだろうか。なぜなら、2025年1月からは横浜が主演を務めるNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』が待機しているからだ。
横浜は6月から『べらぼう』の撮影に突入。演じる蔦屋重三郎を「(これまでの役の中でも)飛び抜けて明るい」と語っている。11月29日に公開される主演映画『正体』をはじめ、近年の出演作はどちらかといえば“陰”の強い役柄が多かっただけに、『べらぼう』でのギャップを楽しみにしていたファンは多いだろう。そんな矢先に届いたのが今回の『わかっていても』。近年の出演作でも恋愛にまつわるシーンが完全になかったわけではないが、“恋愛ドラマ”は実に約3年ぶりとなる。
横浜が世間に“見つかった”作品である2019年放送『初めて恋をした日に読む話』(TBS系/以下『はじこい』)の記事を毎週執筆していたライターの佐藤結衣氏は、ピンク髪の横浜の衝撃を次のように語る。
「横浜さんの活躍はそれまでも目にしていましたが、『はじこい』で演じたピンク髪の“ゆりゆり”こと由利匡平役は衝撃でした。こんなにピュアな眼差しでまっすぐに自分の思いを伝えられる俳優がいるんだ!と。ゆりゆりはピンク髪でちょっと間違えると清潔感や誠実さとかけ離れた印象になりかねないのに、視聴者からとてもポジティブに受け取られていたように感じました。横浜さんは空手の世界大会で優勝されている過去があるように、一度何かを極めた人だからこその芯の強さを感じます。ゆりゆりのピンク髪も周りに流されて染めたのではなく、自分の揺るぎない意志を持ってあの色にしたんだと思わず納得してしまうものがありました。それはほかの作品でもそうなのですが、佇まいにも気品があり、何気ない立ち姿なども凛とした風格を感じます。『はじこい』では、一回りほど歳上の主人公・順子(深田恭子)に恋する役柄でしたが、当時22歳の横浜さんだからこそ出せる少年性と背伸び感も魅力でした。横浜さんご自身も会見などで共演者の方と話す様子を見ていて思うのですが、歳上にかわいがられる後輩感を兼ね備えている。そして、同じTBS火曜ドラマの『着飾る恋には理由があって』で演じたミニマリストの藤野駿役。ゆりゆりのような“熱さ”ではなく、どこか陰を持った色気がある役柄で、その後の出演作につながっていくキャラクターだったように思います。『わかっていても』の役柄は、駿に少し近いイメージかもしれません」
近年の横浜は『流浪の月』『ヴィレッジ』『春に散る』『正体』など、肉体的にも精神的にも追い込まれる役柄を演じてきた。そうした積み重ねの上で再び恋愛ドラマに出演するという点に、大きな楽しみがあると佐藤氏は続ける。
「『自分が世に広く知って頂いたのは恋愛作品ですし、愛の話はこれからもでき、恋の話は今しかできない。ということで出演を決めました』と出演発表時に横浜さんはコメントされていました。『わかっていても』の役柄は『誰もが近づきたくなる吸引力と、誰にも深入りさせないミステリアスな魅力を併せ持つ若き天才芸術家・香坂漣』と書かれているように、20代前半では演じられない、28歳の横浜さんだからこその役柄なのだと思います。どうしても30代に入ってしまうと、“責任”を背負う部分もあり、役柄の“ミステリアスな魅力”がともすれば“遊んでいる人”に見えてしまう可能性があります。かといって、20代前半では大人の色気が少々物足りないという場面もありそうです。横浜さんのコメントの通りですが、28歳は相手を沼らせる“恋”の話を演じられる一番絶妙なタイミングだと思います。そして、横浜さんのお芝居の凄いところは、観ているこちら側が自然にそのキャラクターの人生を補足してしまうところにあります。それは、横浜さん自身がたくさんの挑戦をし続けてきたからこそ。外見のビジュアルだけではない、内面性を含めた“カッコいい”が、『わかっていても』の横浜さんには凝縮されているのではないでしょうか」
『べらぼう』の豪放磊落な蔦屋重三郎とは正反対とも言えそうな『わかっていても』の香坂漣。2025年からの『べらぼう』をより一層楽しむためにも、横浜流星のこれまでが詰まった『わかっていても』は必見の作品になりそうだ。
(文=石井達也)