<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが対円で3カ月りの高値を付けた。ただ、他の主要通貨に対してはおおむね横ばい。市場では来週の米大統領選に加え、週内に発表される米経済指標を見極めようと、様子見姿勢が強まっている。

終盤の取引でドル/円は0.12%高の153.47円。27日に投開票された衆議院選挙で自民・公明合わせた連立与党が過半数を失ったことで、政治、金融の見通しが不透明になり、円相場の重しになっている。ただ、日銀は30─31日に開く金融政策決定会合で金利を据え置くとの見方が大勢。

この日発表の米経済指標では、労働省の9月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が41万8000件減の744万3000件と、2021年1月以来、約3年半ぶりの低水準となった。

一方、コンファレンス・ボード(CB)発表の10月の米消費者信頼感指数は108.7と、9カ月ぶりの高水準となった。労働市場を巡るセンチメントが改善した。

マネックスUSAのトレーディング部門アソシエイトディレクター、ヘレン・ギブン氏は、9月の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく上回ったにもかかわらず、ここ数カ月の全体的なテーマである雇用の減速傾向は続いていると指摘。同時に、11月5日に迫った大統領選とその翌日に結果が発表される連邦公開市場委員会(FOMC)を踏まえると、ドル安には限界があるとの見方を示した。

NY外為市場:[USD/J]

<債券>  米金融・債券市場では、指標となる10年物利回りがほぼ4カ月ぶりの高水準を付ける場面があった。来週の米国大統領選挙を前に投資家が米国債の購入に慎重になっていることが背景。ただ、この日実施された7年国債の入札が好調だったことを受けて終盤では低下した。 賭け市場では、11月5日の米大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領が勝利し、共和党が議会でも多数派を占める可能性もあるとみられている。

マッコーリー銀行でグローバル金利・為替ストラテジストを務めるティエリー・アルバート・ウィズマン氏は「債券市場でもトランプ氏勝利の可能性を織り込みつつある」と述べた。 トランプ氏と民主党候補のハリス副大統領のいずれが大統領に就任しても米国の財政赤字は悪化すると予想されているが、関税や減税を含むトランプ氏の政策は、インフレ上昇とより大きな赤字につながる可能性が高いとみられる。

金利オプションのトレーダーは金利が高止まりした場合に利益が出るような取引を行っており、市場が共和党の圧勝を織り込んでいることを示唆している。オプション市場はまた、米国債利回りが選挙後に大幅な変動を見せると予想している。

10年債利回りは一時、4.339%と約4カ月ぶりの高水準を付けた後、終盤には0.6ベーシスポイント(bp)低下して4.272%となった。

30年債利回りは1.2bp低下し4.518%。序盤には7月3日以来の高水準となる4.583%まで上昇した。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式>  米国株式市場はナスダック総合が終値で最高値を更新。S&P総合500種も続伸する一方、ダウは不安定な取引の中、下落した。一連の企業決算を消化する動きが背景。

超大型7銘柄(マグニフィセント・セブン)の1社であるグーグル持ち株会社アルファベットはこの日の引け後に発表した決算が市場予想を上回った。同社株は通常取引および引け後に上昇した。

今週はS&P500採用企業の多くが決算を発表する。市場の上昇をけん引してきたマグニフィセント・セブンの大半も週内に発表を予定しており注目されている。

USバンク資産管理部門の資本市場調査責任者、ビル・メルツ氏は「市場はウエートの大きい有力企業のマグニフィセント・セブンと、それ以外の企業の間で業績の伸びがある程度収れんするという考え方を消化しつつある」との見方を示した。

「バンズ」などのブランドを展開する衣料品製造大手VFコープは決算が2四半期ぶりの黒字となり、株価が27%急騰した。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米利下げ期待に加えて安全資産としての需要も根強く、4営業日続伸した。

相場は早朝にかけて強含みで推移。1週間後に迫った米大統領選を巡る不透明感に加え、衆院選での与党大敗に伴う日本の政局不安、中東情勢の緊迫化などを背景に安全資産とされる金を物色する流れが継続した。

その後、午前に米経済指標が発表されると、相場は一段と上げ幅を拡大。米労働省がまとめた9月の雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人数が前月から減少し、労働市場の軟化を改めて示唆する内容だった。一方、米民間有力調査機関コンファレンス・ボード(CB)が集計した10月の消費者景気信頼感指数は予想を大きく上回り、雇用に関する項目も改善。まちまちの結果を受け、週末にかけて発表が相次ぐ雇用や物価関連の統計を待ちたいとのムードが広がる中、午後に入ってからも上値を探る展開が続いた。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、中東の地政学的緊張に伴う供給混乱への警戒感が幾分後退し、続落した。

パレスチナ自治区ガザの停戦交渉で、米ネットメディア「アクシオス」は28日、ガザでの戦闘を4週間停止する案をイスラエルと米国、カタールの代表者が協議したと報道した。交渉仲介国のカタールとエジプトの代表者が近く、イスラム組織ハマス側と今回の案を議論する見通しという。

またアクシオスの記者は29日、関係筋の話として、イスラエルのネタニヤフ首相が複数の閣僚や軍、諜報(ちょうほう)機関のトップらと、レバノンでの戦闘に対する外交的な解決策について協議すると、X(旧ツイッター)に投稿した。これらの報を受け、中東情勢の悪化を背景とした供給不安が緩和し、相場は売りに押された。ただ、前日に6%超の急落となった反動で安値拾いの買いも入りやすく、下値は限定的だった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 153.35/153.37    

始値 153.34    

高値 153.86      

安値 153.23      

ユーロ/ドル NY終値 1.0818/1.0819    

始値 1.0805    

高値 1.0818      

安値 1.0770      

         

  米東部時間      

30年債(指標銘柄) 17時05分 95*29.00 4.5005%

  前営業日終値 95*14.00 4.5300%  

10年債(指標銘柄) 17時05分 96*31.00 4.2561%

  前営業日終値 96*25.50 4.2780%  

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*06.00 4.0832%

  前営業日終値 100*00.75 4.1140%  

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.50 4.1003%

  前営業日終値 99*31.13 4.1400%  

         

   終値 前日比 %  

ダウ工業株30種 42233.05 -154.52 -0.36

 前営業日終値 42387.57      

ナスダック総合 18712.75 +145.56 +0.78

 前営業日終値 18567.19      

S&P総合500種 5832.92 +9.40 +0.16

 前営業日終値 5823.52      

         

COMEX金 12月限 2781.1 +25.2  

前営業日終値 2755.9      

COMEX銀 12月限 3444.1 +44.0  

前営業日終値 3400.1       

北海ブレント 12月限 71.12 ‐0.30  

前営業日終値 71.42      

米WTI先物 12月限 67.21 ‐0.17  

前営業日終値 67.38      

CRB商品指数 278.3326 +0.6260  

前営業日終値 277.7066