【菊花賞/追い切り診断】前走自己条件の上がり馬に「A」の高評価 GI馬に手応え優勢で精神面、操縦性は“絶品レベル”
第85回菊花賞(20日/GI、京都芝3000m)には、ダービー馬ダノンデサイル、セントライト記念勝ち馬のアーバンシック、神戸新聞杯を逃げ切り制したメイショウタバルなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ヘデントール」を取り上げる。
■ヘデントール
【中間調整】今年3月の1勝クラス・中山芝2000m戦で1頭だけ違う伸び脚から3馬身差快勝。距離が延びていい血統背景でもあり、続く青葉賞では1番人気に推されたが、出遅れかつ後方から行きたがるチグハグな競馬となり8着に沈んでしまった。その後は自己条件で仕切り直すことに。古馬との初対戦だった2勝クラス・町田特別でなんなく勝利。そしてそこから中8週、菊花賞への試金石と陣営が捉えていた前走・日本海S(3勝クラス)も楽に抜け出し、3馬身半差の快勝を収めた。この内容から菊花賞行きがほぼ内定。
その後は放牧に出され、ラスト1冠へ英気を養う。涼しくなった9月下旬に美浦へ帰厩。29日のウッド14-14を皮切りに順調に調整メニューを消化している。1週前のウッド併せ馬ではBCマイルに向けて調整されている厩舎の看板ホース・ジオグリフに対し手応え優勢で追走併入。渋っていたウッドチップをものともしない、力強さあふれる動きだった。
【最終追い切り】レース当週は今回新コンビを組む戸崎騎手が騎乗し、ウッドで“木村厩舎流”の3頭併せ。少しだけ重心を高く見せたが、脚捌きはしっかりしており、問題ないレベル。外先行の馬がややオーバーペース気味に抜け出す格好だったが、これにスッと対応し楽に並び掛けていき、最後までいい手応えを保って結局2頭と併入とした。
【見解】青葉賞こそ案外も、近2戦で改めて豊富なスタミナと競馬センスをアピール。前に行く意識を植え付けられたのもいい。攻めは名門・木村厩舎らしく順調で、最終追いでは絶品レベルと言える気持ちの張り、操縦性の高さを見せつけた。初の関西遠征、フルゲート18頭立て、そして結果を出してきたルメール騎手の手離れと克服課題は並ぶが、GIでもやれるのではないか。昨年日本海S勝ちから臨んで菊花賞を制したドゥレッツァの再現なるか。
総合評価「A」
著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。