【菊花賞/全頭診断】ダノンデサイルが示す“コントレイル級”の根拠 「異次元ラップ」叩き出した想定4人気以下も警戒

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今週は京都競馬場で、第85回菊花賞(GI、芝3000m)が行われる。全頭未経験の長丁場が舞台の3歳クラシック最終章。枠順も重要なファクターとなる一戦だ。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

■菊花賞2024 出走予定馬全頭診断

・1枠1番 ピースワンデュック

未勝利から3連勝と申し分ない結果を残しているが、クラスが上がるたびに2着馬との差は詰まっている。上がり馬であればクラス関係なく圧倒的な走りを見せてほしいのが私の願望でもあるし、前走タイム差なしの2着馬は次走神戸新聞杯で掲示板外。強調材料は乏しい。

・1枠2番 ノーブルスカイ

1勝クラスを勝ち上がるのに4戦を要した馬。さすがに夏4戦は使いすぎだし、先手を奪う競馬で3000mの距離をこなせるとは思えない。

・2枠3番 アスクカムオンモア

左回りの成績【3-1-1-0】に対し、右回りは【0-0-0-2】。現状はサウスポーの感が否めず、上位進出へのハードルは高そうだ。

・2枠4番 ダノンデサイル

未勝利が単勝11.3倍、京成杯が単勝11.5倍、日本ダービーが単勝46.6倍。ファン泣かせというか、強さがわからないまま世代頂点に立ってしまったという馬だ。前走だけにフォーカスすると、良馬場の日本ダービーで2着に0秒4差以上の馬はコントレイル、ディープインパクト、ナリタブライアンなど三冠馬がズラリ。京都芝外回りの勝利実績もあり、予想軸という意味では最適な馬と言えそうだ。

・3枠5番 ハヤテノフクノスケ

2200→2000m替わりの3走前、2600→2000m替わりの前走と距離短縮での好走が目立つ馬。戦績からステイヤー適性は見い出せず、次走距離短縮時が狙い目となりそうだ。

・3枠6番 ミスタージーティー

タッチングスピーチやサトノルークスなど、3歳秋に覚醒をはたす血統。前走はその期待もあったが、見せ場なく敗れた。ここでの変わり身は難しいだろう。

・4枠7番 ビザンチンドリーム

テンにいけない脚質は秋になっても変わらず。その部分が解消されない限り、GIでの上位進出は厳しい。

・4枠8番 ウエストナウ

これまで3戦のキャリアと、絶対的な経験値が不足している印象。戦法が定まっていない点も含め、ここは厳しい戦いが予想される。

・5枠9番 コスモキュランダ

出遅れ→マクリがデフォルトの脚質で、いかにもM.デムーロが好きそうな馬。今回も間違いなく出遅れるだろうし、2周目の向こう正面で仕掛ける可能性が高い1頭だ。仮に京都の長距離GIでそれを実行したとして、押し切れるのはゴールドシップやライスシャワー級のバケモノステイヤーに限定。むろんこの馬がバケモノである可能性は否定できないが、中心に据えるのはややリスキーか。

・5枠10番 メイショウタバル

鮮やかな逃げ切りを決めた前走神戸新聞杯。単騎逃げかつ道悪は毎日杯と同じ条件でもあり、得意レンジが狭いタイプの馬なのだろう。今週末の京都は土曜にひと雨ありそうだが、日曜は好天で良馬場想定。前走の再現を望むのは厳しいと言わざるを得ない。

・6枠11番 ショウナンラプンタ

青葉賞→日本ダービーのローテーションは関西馬にとって鬼門。季節の変わり目の短期間で関東圏への連続輸送を強いられるのだから当然だ。それゆえダービーは参考外と言えるし、ホープフルS時に顕在化した折り合いの不安はすっかり解消されたことを前走で確認。鮫島克駿お得意のイン突きが炸裂する可能性を踏まえ、馬券には組み込むべきか。

・6枠12番 シュバルツクーゲル

夏の3勝クラス・芝中距離戦を制したのは立派。ただ、私がこの馬で思い浮かべるのは、かつてGI戦線の名バイプレーヤーとして活躍したショウナンマイティだ。この馬の真価は右回りの芝2000mでこそ発揮される。ここでは評価を下げ、暮れや年明けの中山芝2000mで見直しを考えたい。

・7枠13番 アーバンシック

セントライト記念の勝ち馬をみると不思議なことに気がつく。レーベンスティール、ガイアフォース、アサマノイタズラ、バビット……いずれもその時点で2200m以上の勝利実績がなく、1800-2000mを主戦場とした馬だ。2200mの距離であっても、オール野芝の9月中山芝は短めの距離適性が問われる舞台。私はこの馬が将来マイラータイプに成長すると思っているので、この舞台では絶対能力+C.ルメール騎乗を加味しても絶対的存在とは言い難いだろう。

・7枠14番 メリオーレム

1番人気に支持された前走神戸新聞杯は5着。終始スムーズだっただけに力負けだと思うし、ここも勝ち切る可能性は考えにくい。ただ、メンバーレベルを差し引いても2走前の芝2600mで示したパフォーマンスは高いステイヤー適性を示すもの。長距離砲を何頭も管理してきた友道厩舎所属馬×川田将雅のコンビなら印は必要か。

・7枠15番 エコロヴァルツ

前走セントライト記念は上位2頭との差が顕著。舞台替わりで2頭+アルファのメンバーに先んじてゴールするとは思えず、評価は上がらない。

・8枠16番 ヘデントール

週中のXにも記したが、この馬が前走日本海Sで示したラップは異常。後半1000mをみると【11秒5-11秒9-11秒7-11秒3-11秒1】、その合計は57秒5。コーナーが多く、直線の短い新潟内回りでこんな数字を叩き出した馬を私は見たことがない。先週の秋華賞がそうだったように、ハッキリ言って戸崎圭太×京都芝に良いイメージはない。それでも馬が圧倒的であれば……そんな期待を託せるだけのポテンシャルの持ち主だと私は思っている。

・8枠17番 アドマイヤテラ

個人的な願望として、7-9月の非重賞を制して臨む馬にはノンストップの勢いそのままで来てほしい。本馬は2走前の夏初戦で一度敗戦を喫している点が気がかりで、負けるときはちゃんと負けてしまうタイプ。GIを戦ってきたメンバー相手には分が悪いだろう。

・8枠18番 アレグロブリランテ

ラジオNIKKEI賞以来の実戦となる馬。脚質的に前に行く可能性があることから、社台ノーザン系クラブ馬が“ラビット”的な役割を期待しているのだろうか。勝負気配は薄い。
UMAJIN.netより一部編集・転載()

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。