電柱から電線切断も…急増の銅線泥棒の大胆手口「トイレ真っ暗に」公園の地下ケーブルまで被害に

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全国で続発している銅線ケーブルの窃盗事件。
これまでの“銅線泥棒”は、工事現場や太陽光発電施設など人通りの少ない場所での犯行が一般的でしたが、最近、私たちの生活圏で起こるようになっています。

16日は「銅線泥棒生活圏へ 犯行現場を拡大」をテーマにお伝えします。

警察庁によりますと、金属窃盗の被害件数は統計を取り始めた2020年は約5500件でした。
しかし、2023年は1万6000件以上と3年で3倍に急増しています。

銅線泥棒が現れた千葉・鴨川市の漁港に行ってみました。
盗まれたのは200メートルの銅線が8本、約1600メートルにもなるといいます。

電柱から電線が切断されて盗まれたという銅線。
どうやって気づいたのでしょうか。

市民:
トイレは奥に1個あるけど真っ暗だった。港が真っ暗だった。あれ変だなって思って、1週間くらい工事している。今朝ようやく明かりがついたから、そろそろ(復旧)かな。

被害額は合わせて約400万円だといいます。

さらに、銅線泥棒は観光施設にも現れました。

埼玉県北東部の行田市にある「古代蓮の里」では、公園のマンホールのふたが開いていて、地下に埋められている電線が切られていました。

行田市都市計画課・寺田定弘課長:
電線が窃盗されたことで、古代蓮の里の公園の北側のトイレが使えなくなった。照明灯がつかなくなった。自動販売機の3機が通電していない。この行為は単なる窃盗ではなく、公共施設の破壊行為に近い。本当に許せない。

盗まれた銅線は814メートル、被害額は約350万円。
現在も復旧していないといいます。

被害届を受け、現在警察が捜査していて、周辺のパトロールも行っているということです。

他にも、群馬県にある「万座温泉スキー場」で銅線ケーブルなどが盗まれ、4基のリフトが動かせなくなるなど、生活圏内で銅線泥棒による被害が相次いでいます。

この銅線泥棒増加の背景について、専門家に話を聞きました。

七十七リサーチ&コンサルティング 主席エコノミスト・田口庸友氏:
銅価格の上昇、高止まりといった要因というのがある。犯罪のリスクを冒しても、それを上回る利益が得られるといったような状況。あとは歴史的な円安が進んだといった要因がある。盲点を突くように市街地でも人通りの少ない所で狙われやすくなってきてる。

銅の値段は2020年頃と比較すると約2倍に上がっています。
銅線などの金属は、盗まれたあとに売り飛ばされることが多いといいます。

銅線買い取り業者に対処のしようがあるのか聞きました。

銅線買い取り業者:
盗んだものかどうかは正直わからない。「あなたこれ盗んできた物ですか」と聞いて「そうです」という人はいない。弊社の場合は、そういうリスクを極力減らしたいので、怪しい人からは買わない仕組みを作ってる。

しかし、その怪しい人物から電話がかかってくることも。

銅線買い取り業者:
「身分証出さないと駄目ですか」と聞かれるときはあります。だいたい非通知でかけてくるので、怪しいなとは思います。なのでそういう人は相手にしないようにやってる。

相次ぐ被害に国も動き出しました。
警察庁は、盗まれた品の流通防止や犯行に使用される道具に関する法規制の在り方も含めた対策の検討を進めています。

身近に迫る、この銅線泥棒。
私たちも日頃から目を光らせる必要があるのかもしれません。