『博 漫画家デビュー15周年記念『明日ちゃんのセーラー服』原画展』

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『博 漫画家デビュー15周年記念『明日ちゃんのセーラー服』原画展』が2024年10月11日(金)から10月27日(日)まで東京・有楽町の有楽町マルイ8階 イベントスペースで開催中だ。漫画家・博のデビュー15周年を記念した本展には、彼の代表作『明日ちゃんのセーラー服』の直筆原画300点以上が展示。小路たち蠟梅学園1年3組のみんなから元気がもらえる空間になっている。

蠟梅学園1年3組のここまでを約300点の原画で振り返る

博(ひろ)作の『明日ちゃんのセーラー服』は、集英社のWeb漫画サイト『となりのヤングジャンプ』で2016年から連載され、累計発行部数110万部以上を誇る人気漫画。とある田舎の名門女子中学・蠟梅学園(ろうばいがくえん)に入学し、ある事情により学園で一人だけセーラー服で通学することになった主人公の明日小路(あけび・こみち)を中心に、全国から集まった1年3組の生徒たちの青春を描いている。瑞々しい描写で描かれるストーリーは、世間ずれしていなくて少しおっちょこちょいな小町と関わりながら変化していくクラスメイトの心情風景や小町への周囲の優しいまなざしが感動を呼ぶ作品だ。

会場に着くと入場口にはさっそく、中間服、夏服、冬服を着た小路が並ぶ本展のキービジュアルと、小路たち蠟梅学園1年3組の教室が描かれた巨大パネルが迎えてくれる。まるで「蠟梅学園にいらっしゃい!」と言われているかのような気分に、入場前からテンションは爆上がり!

展示風景

そして場内のはじめには、漫画の場面カットを使った1年3組16名の紹介映像が、一昨年に放送されたTVアニメ版の主題歌「はじまりのセツナ」とともに流されており、一気に作品の世界に導かれる。また、すぐそばには同じく生徒を紹介するパネルもあり、木崎江利花、谷川景、古城智乃らクラスメイトたちの設定が確認できる。

展示風景

モノクロ・カラー合わせて約300点以上の原画展示は、作品の時系列に合わせて「春休み」「蠟梅学園入学」「夏休み」「新学期」という4つのエリアで構成されている。各エリアの入り口には、博先生ご本人の言葉で各局面のエピソードが語られ、自らの経験からこの物語が生まれたことや制作の裏話など作者自身の本展への思いを感じ取れる。

博先生の母が仕立てたセーラー服の展示も

序盤の展示ではさっそく豊富に展示された原画に感動を覚えつつも、空間の真ん中に展示されたセーラー服に目が行く。これこそ小路が蠟梅学園への入学を目指すきっかけとなった憧れのセーラー服であり、青いリボンが特徴的な一着はとてもかわいらしく、かつてセーラー服を着ていた人には懐かしさも感じられるだろう立体展示だ。

展示風景

順路にはこの中間服のほか、小路のセーラー服の夏服と冬服、蠟梅学園の夏服が展示されている。実はこれらは実際に仕立て屋をされている博先生のお母さまが仕立てられた、作品のストーリーさながら親子の思いが詰まったもの。今回の原画展のために作られたという夏服の解説では、先生とお母さまが日暮里の繊維街へ行き、一緒に素材を選んだという親子のエピソードも語られ、作品同様にほっこりとした気分になれる。

展示風景

第1話の大胆なアクロバットシーンから始まる原画展示は、コミックス第1巻の表紙カバーであり、本作にグッと引き込まれるきっかけになったファンも多いであろう、二本指で唇を挟む小路のカラー原画を筆頭に、明るくて、かわいくて、ほっこりとする彼女たちの姿の連続。壁面をびっしりと埋め尽くす原画に物語が生まれた瞬間を感じつつ、小路たちのこれまでを振り返ることができる。

展示風景

展示風景

小路たちの表情豊かで溌溂とした姿に元気がもらえる内容だ。名シーンの大型演出もところどころに用意され、作品の感動が蘇る。おそらくWeb漫画やコミックスよりも大きな画面で見る原画にドキッとさせられる来場者もきっと多いはず。

博先生の仕事場再現やフォトスポットなど充実の会場

原画展示の先にはカラー原画を集めたコーナーも。博先生の作品といえば、水彩で描かれた美しいカラーイラストも大きな魅力。すべて名シーンといえるイラストの連続は、ここまでの感動をもうワンプッシュしてくれる。

展示風景

終盤には本展のための描き下ろしイラストやキービジュアルの立体展示などと記念撮影ができるフォトスポット、さらに博先生の仕事場を再現した立体展示もあり、全体的に作者自身からのメッセージが伝わる原画展になっている。また、隣接のショップには本展限定の記念商品も充実。ぜひ思い出に、小路やお気に入りの3年1組メンバーのグッズを買って帰ろう。

展示風景

『博 漫画家デビュー15周年記念『明日ちゃんのセーラー服』原画展』は10月27日(日)まで東京・有楽町の有楽町マルイ8階 イベントスペースで開催中。“また明日”もがんばろうと思える元気をもらいに、ぜひ有楽町へ!


文・写真=Sho Suzuki