WBC世界バンタム級、6回TKO勝ちを収めた中谷潤人【写真:中戸川知世】

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 ボクシングのWBC世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が14日、東京・有明アリーナで行われ、王者・中谷潤人(M.T)が同級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)に6回2分59秒TKO勝ち。2度目の防衛を達成した。世界的評価を受ける次代の最強ボクサーが大型興行のトリを務め、最後は衝撃的な決着に会場は騒然。戦績は26歳・中谷が29勝(22KO)、30歳のペッチが76勝(53KO)2敗。

 13日を含め、1興行7つの世界戦は日本初。その大トリとして次代の最強ボクサーがリングに立った。長身サウスポー同士の対決、中谷は開始から距離を測るようにしながら、的確にパンチを出していく。3回から多彩なジャブを軸に優位に展開するが、ペッチも引かずに距離を詰め、タフネスぶりを発揮した。

 試合が動いたのは6回だ。残り1分30分で強烈な左をヒットさせると、猛ラッシュを披露。ペッチにたまらず膝をつかせ、ダウンを奪った。さらに終了間際には強烈な左フックが炸裂。2度目のダウンを奪い、レフェリーが試合を止めてTKO勝ちとなった。

 これで3戦連続KO勝ち。リングインタビューは「世界戦でKOする機会が増えてきているので、お客さんも喜んでくれたらうれしい」と第一声で安堵。「(相手が序盤から)来ることは想定していた。最初はディフェンシブに戦った。チームからも『まだ行かなくていい、距離を取って戦っていけばいい』と言ってもらった。自分で勉強しながら、当たるパンチをしっかり見ていけた」と冷静な戦いぶりを振り返った。

 相手はキャリアで1度もない。「そういう選手もこれまでKOしてきた。気負わずにKOできて良かった」と胸を張り、さらに日本人がベルトを独占しているバンタム級での今後を問われ、「チャンピオンは誰でも、という感じです」と堂々と語った。「僕の大きな目標としてパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位を掲げている。今日みたいなKOをたくさんお見せしていきたい」と締めくくり、大きな拍手を浴びた。

 中谷は2月に3階級制覇を達成し、7月の前戦ではわずか157秒の衝撃KO勝ちを飾った。世界で最も権威のある米専門誌「ザ・リング」の階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」は9位に。2位の世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥に次ぐ世界的な評価を受け、PFP1位や井上戦実現も目標に掲げていた。

 バンタム級の他3つの世界王座はWBAに堤聖也、IBFに西田凌佑、WBOに武居由樹が就き、日本人が独占。中谷はWBA王者だった井上拓真との統一戦が期待されたが、13日に堤が王座を奪った。この日のセミファイナルで勝利した那須川天心もWBA3位、WBC3位、WBO12位につけ、近い将来の世界挑戦を見据えている。

(THE ANSWER編集部)