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 ◇セCSファーストシリーズ第1戦 阪神1ー3DeNA(2024年10月12日 甲子園)

 【矢野燿大 視点】短期決戦で初戦は確かに大事だ。阪神は絶対取りたい試合だったが、負けたからといって、悲観する必要はない。悲観しても始まらない。ここから前向きにチャレンジする。その姿勢を持ってほしい。

 ドジャースの大谷翔平も、パドレスに王手をかけられて、こう言った。「2つ勝てばいいんです」。この気持ちだ。後がない、などと思わず、勝つことだけに集中する。逆転でリーグチャンピオンシップシリーズ進出を決めたドジャースに阪神も続いてほしい。1敗したからこそ思い切ってチャレンジもできる。ここからの2連勝、可能性は十分にある。

 攻撃では相手投球に対するズレを克服する必要がある。レギュラーシーズン最終戦から阪神は中8日、DeNAは中5日。ブランクは短い方が、攻撃にとってプラスに働くという面が出た。阪神もシート打撃などで備えたが、試合でしか分からないところがある。特に序盤は自分のタイミングで打てている打者は森下くらいだった。

 阪神の攻撃のポイントは近本、中野の1、2番だ。2人が塁に出ると攻撃に流れができる。逆だと森下が打っても単体の攻撃にしかならない。近本は8回のヒットを2戦目につなげてほしい。気持ちは全然違ってくるはずだ。中野も大事にいこうとして、呼び込みすぎている。DeNAの打線を引っ張った牧、佐野に負けない技術を、2人は持っている。

 9回は大山、前川、木浪の安打で反撃もした。次につながる攻撃はできた。先発・高橋の投球を全員で援護すれば、流れを戻せる。広めのストライクゾーンを引きずらないメンタルも短期決戦では大事だ。(スポニチ本紙評論家)