レプリコンワクチン接種を巡って議論に(写真はイメージ)

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新型コロナウイルスのレプリコンワクチン接種者について、大手ホットヨガスタジオ「LAVA」が、安全性が確認できるまで入店を控えるように求め、波紋が広がっている。

このワクチンは、シェディングと呼ばれる未接種者への伝播の恐れが一部の医療関係者から指摘されてはいるが、厚労省や製薬会社は「科学的知見はない」としている。「入店拒否」は差別ではないのかとの声も上がっており、議論になっている。

「ワクチンの安全性が確認できるまで」と説明

レプリコンワクチンは、自己増殖性があり、既存のワクチンより抗体の持続期間が長いとされている。世界で初めて「Meiji Seika ファルマ」の製品が厚労省で承認され、2024年10月1日から高齢者などを対象に新型コロナワクチンの定期接種が始まった。

一方、このワクチンは、呼気や汗を通じて他人へ成分が伝播するシェディングの可能性があるとの指摘も一部で出ており、日本看護倫理学会が8月、安全性に懸念があって倫理的問題があるとの声明を出して、心配する声が広がった。立憲民主党の川田龍平参院議員は9月、同様の懸念からレプリコンワクチンの一時中止を求める要請書を厚労省に提出している。

ワクチンの接種がスタートすると、一部の学校や美容院からシェディングの可能性を懸念する声がネット上で出て、LAVAの公式サイトでも1日、「レプリコンワクチン接種者のご入店について」と題するお知らせが掲載された。

そこでは、接種した客に対し、「ワクチンの安全性が確認できるまで、LAVA各店への入店をお控えいただきますよう、お願い申し上げます」と運営本部が異例の要請を行った。その理由として、「ワクチン接種者から未接種者へのシェディング(感染)の可能性が挙げられます。特にレプリコンワクチンは自己増殖型のワクチンであり、その安全性に関して十分な臨床研究が行われておりません」と説明した。

LAVAを展開するベンチャーバンクホールディングス(東京都港区)の鷲見貴彦社長は、自らのXなどで、コロナワクチンの接種が始まった21年から副反応の懸念を指摘し、「リスク情報が少なすぎる」などと発言している。今回の「入店拒否」については、こうした考え方も背景にあるとみられている。

店舗運営側「回答するかどうかは確約できません」

LAVAの「入店拒否」については、反ワクチンの支持者らからはX上などで賞賛の声が上がる一方、「接種者差別するのはどうなのか?」と疑問や批判も次々に出るなど、様々な意見が書き込まれている。

厚労省の公式サイトでは、「新型コロナワクチンQ&A」のページで、シェディングの可能性について、「体内で無限にタンパク質が作られることはなく、他の方にワクチンの成分が伝播するといった科学的知見はありません」と否定している。Meiji Seika ファルマの公式サイトでも、「ワクチンQ&A」のページで同様の説明をしている。

LAVAの対応について、同省の予防接種課は10月4日、J-CASTニュースの取材に対し、「個別の企業へコメントは差し控えさせていただきます」としたうえで、こう話した。

「レプリコンワクチンは、薬事承認の段階で安全性・有効性を確認しており、定期接種は、審議会で確認して使用に了承を得ています。国民の皆様には、冷静な対応をお願いします。正しい情報に基づいて、ご判断いただきたいと考えています」

また、同省の医薬品審査管理課は同日、シェディングに関する臨床研究が行われていないことは取材に認めたが、その理由については、科学的に起こり得ないと考えていることを挙げた。

レプリコンワクチン接種者への「入店拒否」については、福岡資麿厚労相の4日の会見でも、記者から質問が出た。福岡氏は、ネット上の様々な意見は承知しているとしたうえで、こう述べた。

「今後も、科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家によるワクチンの安全性の評価を適切に行い、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関に情報提供するなど必要な対応を行ってまいりたいと考えております」

ベンチャーバンクホールディングスの広報担当者は同日、取材に対し、「LAVAを運営する子会社に申し伝えますが、回答するかどうかは確約できません。必要があれば、子会社から連絡があると思います」と説明した。回答があれば、追って伝える。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)