King & Prince

写真拡大

 King & Princeが面白いことになってきた。12月11日に、6枚目となる最新アルバム『Re:ERA』(読み方:リエラ)をリリースすることを発表したKing & Prince。そのアルバムは、グループとしては初の試みでいっぱいだ。

(関連:【動画あり】King & Princeふたりの物語のスタートが描かれる「WOW」-"Re:ERA beginning" ver.-

 はじまりは、2018年。とあるファミレスでした――(※1)。そう、1つ目の試みはアルバムを通じてひとつの物語を紡ぐコンセプトアルバムであるということ。King & Princeのふたりが若き研究者となって壮大な宇宙計画を語り合うところからストーリーが動き出す。

 アルバムのリリースに先駆けて公開された、表題曲「WOW」のプロモーション映像『「WOW」-“Re:ERA beginning’' ver.-』には、ダイナーのテーブルで郄橋海人が何やら書き込む姿が。そこへ、リラックスした雰囲気で合流するのは、もちろん永瀬廉だ。郄橋が嬉しそうに永瀬に向かってスケッチブックを掲げると、笑顔と共に会話が弾む様子が見て取れる。その光景は、おそらくそのままこのアルバム制作風景と重なるのだろう。なぜなら2つ目の試みは、このアルバムが郄橋主体で創り上げられているものだからだ。新曲「WOW」はアーティスト・三浦大知と音楽プロデューサー・UTAと郄橋のコラボ制作。振り付けも三浦が担当したというから、そのパフォーマンスにも期待が高まる。さらに、アルバムに収録された全16曲には、それぞれ郄橋が描き下ろしたキャラクターがいるのだという。

 「誰が思いつくねん、こんなこと! うちの海人すごいんですよ」とは、9月25日に放送されたラジオ『永瀬廉のRadioGARDEN』(文化放送)で永瀬が口にした言葉だ。アイドルとしての活躍だけでなく、『ベツコミ』(小学館)にて漫画家としてデビューした経験を持つ郄橋。そして、多くのドラマに出演し、作品ごとに異なる顔を見せてきた永瀬。新たな世界をゼロから構築できる郄橋と、物語の中で生きる人々を表現できる永瀬の経験と実績が、このアルバムで余すことなく披露される。そんなタイミングであると気付かされる。

 そして「いやー、素晴らしい世界観ですよ。僕は本当に、そういうアルバムをどういうコンセプトにしようかみたいな、なかなか思い浮かばないもんですから。そういう意味では、海人がやりたいことが、やりたいことというか。僕の中で」という言葉も印象的だった。

 これ以上ないというくらい、まっすぐな信頼とリスペクト。一方で、郄橋も永瀬が療養のために活動を休止した際、舞台裏で「廉は? 廉~?」と涙声で名を呼んでいたとTravis Japanの松田元太が同ラジオにゲスト出演していたときに明かしていたのを思い出す。今、彼らがどれだけお互いの存在を必要としているのか。そして、King & Princeというグループを発展させていこうという想いを強く共にしているのかが伝わってくる。

 先述した通り、このアルバムで描かれるストーリーのはじまりは2018年。それは、King & Princeがデビューした年でもある。プロモーション映像では「そして、3年後、2021年。ふたりはついに開発の糸口をつかんだのです」と続く。2021年といえば、グループとしてYouTubeチャンネルを開設したり、初の地上波冠番組『King & Princeる。』(日本テレビ系)が放送されたりと、グループとして大きな節目を迎えた年だった。

 「そして2024年。ふたりの夢は、大きく動き出すのでした――!」とあるのは、今年グループとしての新会社“King & Prince株式会社”を設立し、ふたりが共同で代表取締役社長となったことに繋がっているのではないか。永瀬風に言えば「社長さん」となったふたりが「可能な限り作る作品、プレーヤーとしても納得したものを世に届けたいと思って、一番いいのが自分たちの会社をつくることだと思いました」とファンに所信表明していた姿と、今回のアルバムで若き研究者として壮大な宇宙計画を練る姿とが、また重なるような気がした。

 宇宙とは、未知の象徴でもある。まだ誰も知ることのできない世界といえば、未来のイメージとも近い。King & Princeは、そんな未来を、新たな試みで彩ろうとしているのではないか。3つ目の試みは、CDリリースの前に10月14日からサブスクで配信がスタートするという新しい形だ。

 どんな結果が待ち受けているのかはわからない。しかし、だからこそ面白い。永瀬の「海人らしい世界観の素敵な楽曲だし、特典のほうもみんなで話し合って考えたので、お楽しみにって感じですね。曲も素晴らしいですから今回。めちゃめちゃいいんで! それを引っ提げてのライブもありますんで、10月14日から聴いて覚えていただけたらと思いますね」という軽やかな声色に、ふたりがどれだけワクワクしながら、このアルバムを創り上げたのだろうと想像できる。そんな結束力の高まっているKing & Princeが誘う『Re:ERA』の世界へ、早く足を踏み入れたい気持ちでいっぱいだ。

※1:https://www.kingandprince6th.jp/

(文=佐藤結衣)