『おむすび』写真提供=NHK

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 橋本環奈が主演を務める朝ドラ『おむすび』(NHK総合)の放送がスタート。ヒロイン・米田結(橋本環奈)の日常を彩っていくことになるのであろうユニークなキャラクターが続々と登場し、にぎやかな日々になりそうだ。

参考:仲里依紗の代表作は“自分自身” 『おむすび』橋本環奈との姉妹役は朝ドラ史に刻まれる予感

 そんな登場人物たちの中で大注目なのが、結の姉にして福岡の伝説のギャルである米田歩。演じるのは仲里依紗である。

 本作は、平成元年生まれのヒロインが、栄養士として、人の心と未来を結んでいく青春模様を描く作品なのだという。物語のはじまりは平成16年。西暦でいえば2004年。どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”で、結は時代の荒波の中を突き進んでいくらしい。現状、彼女はまだギャルではないが、どうやらそういうことらしいのだ。結はギャルたちと出会い、彼女たちの心に触れ、自らもギャルマインドを獲得していくのである。

 そんな作品でヒロインの姉・歩を演じているのが仲里依紗だ。歩は福岡で“伝説のギャル”として知られるくらいの存在であるから、よほどの人物なのだろう。まだ一度も登場はしていないが、結の周囲の者たちの発言から、彼女がいかなる存在なのかは想像がつく……いや、つかない。正直なところ、まったく想像がつかない。それはそうだ。現在の結や米田家の面々と“伝説のギャル”とが、いっさい結びつかないからである。

 仲はどのような“伝説のギャル”を立ち上げるのだろうか。彼女の立ち居振る舞いによって、“橋本環奈=米田結”の今後や、ひいては本作の流れも変わってくることだろう。ここに彼女のコメントを引いておきたい。

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 おむすび Part1』(NHK出版)にて仲は、自身が演じる歩について、「『歩』という名前のとおり、自分の道を歩んでいる人だと感じています。(中略)歩と結は、性格が全く違います。家の中を引っかき回す歩の行動に、結は苦しめられてきた半面、どこか羨ましい気持ちもあったのではないでしょうか」と語っている。やはりそうだ。歩の存在は現在の結に、大きく影響しているらしい。どんな流れで、結にとって歩の存在がポジティブなものへと変化するのか。これは脚本上の物語だけでなく、姉妹を演じる仲と橋本のかけ合いがカギとなってきそうである。

 仲は劇中の結と同じ平成元年生まれだ。そして橋本は1999年の早生まれだから、仲と橋本の学年差は歩と結と同じく8年。本作の物語がスタートした2004年当時のことを、仲は肌で知っているだろう。結にとって歩が重要な存在となるように、橋本にとっては仲が重要な存在になりそうである。

 そんな仲里依紗は、演技において多彩な表情と器用さを持った俳優だと思うが、やはり個性的なキャラクターにこそハマる印象が強くある。ここ最近だと宮藤官九郎が脚本を手がけて大きな反響を呼んだ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の犬島渚がそうだろう。

 これは現代社会のさまざまな問題にユーモアを持って斬り込む作品で、ほかの者たちと同様に、仲もミュージカル調のパフォーマンスをたびたび披露。しかも、ヒロインポジションに当たるキャラクターかと思いきや、まさかの彼女は主人公の孫だった。作品全体としてはコメディチックなものだが、しだいに明らかになっていく事実を知り、落涙したのは私だけではないはずだ。ときにコミカルで、ときにシリアス。仲は緩急自在な演技で作品の一翼を担っていた。

 さて、『エール』(2020年度前期)に続いて2度目の朝ドラ出演となる仲は、どのような演技で魅せてくれるのだろうか。繰り返しになるが、現在の結や米田家の面々と“伝説のギャル”とは、まったく結びつかない。ここで彼女はどんなギャル像を立ち上げるのか。やはり個性的なキャラクターなのだろうか。ヒロイン・結が愛される存在になれるかどうかは、“仲里依紗=米田歩”にもかかっている。(文=リアルサウンド編集部)