今年2月からスクールコーチとして活躍する金井氏。担当する横須賀地域を中心に子どもたちの指導に当たっている。(C)F.M.S.C.

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 攻撃的で魅力的なアタッキングフットボールを展開する横浜F・マリノス。そのトップチームでキャプテンを務める喜田拓也をはじめ、水沼宏太、天野純、飯倉大樹、山根陸らを輩出している育成組織のマリノスサッカースクールで、今年2月からスクールコーチを務めているのが金井貢史氏である。

 同スクール出身の金井コーチは、2008年に横浜ユースからトップチームに昇格し、その後はサガン鳥栖、名古屋グランパス、FC琉球OKINAWAなどを経て、カマタマーレ讃岐に所属していた23年シーズン限りで現役を引退。「僕がプロになれたのもF・マリノスのおかげ。育ててもらったクラブに恩返しをしたい」という想いから、自ら懇願してスクールコーチ就任に至ったという。

 現在は、ホームタウンの横浜市、横須賀市、大和市で全12校の展開がされている同スクールで、主に横須賀市の2校を中心に担当している金井コーチは、スクール理念である「サッカーを通して子どもたちの未来をつくる」と、4つの指導コンセプト「Enjoy=楽しむ」「Aspiration=向上心」「Independent=自立」「Thinking=考える力」を大切にしながら、日々奮闘している。
 スクールコーチの仕事は、ピッチ上での指導だけでなく、ピッチ外のスクール運営やクラブ主催のイベント・スポーツ普及活動の指導や運営、クラブ普及活動など多岐に渡る。就任から約8か月が経つなか、金井コーチが最も注力しているのが、トレーニングメニューの作成だ。

「僕も子どもの頃からスクールに通っていましたけど、いろんな準備をして子どもたちと向き合っているんだなと感じます。トレーニングメニューの作成は経験年数に関係なく担当クラスを任せていただけるので、子どもたちが楽しみながらも、何かひとつ持ち帰ってもらえたらなっていう視点で考えています。サッカーを純粋に楽しんでいる子、もっと上手くなりたいっていう向上心の強い子など、いろんな子どもがいるので、見ていて楽しいですし、先週までできなかったことができるようになると嬉しいですね」(金井)

 一方で、外部からの参加もできる1DAYスクールや体験会といったイベントの運営には四苦八苦しているという。

「イベント運営は本当に難しいです。初めて参加する子どもたちも多くいるので、予想外の出来事が少なくないですし、参加した選手たちへの指導では、最初は臨機応変な対応ができなくて…。それに最初は指導案を考えたら、それをやり抜かないといけないって考え過ぎていた部分もありました。少しは柔軟に考えられるようになりましたけど、まだまだです」

 サッカーの指導がメイン業務とはいえ、例えば電話対応といった事務業務もある。「サッカーしかやっていなかったので、いろんなことが初めての経験で日々勉強ですが、子どもたちに“またスクールに来たい”って思ってもらえたら満足です」と笑顔を覗かせる金井コーチからは、充実感が伝わってくる。
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 金井コーチも活躍するマリノスサッカースクールを運営する一般社団法人F・マリノススポーツクラブでは、25年度のスクールコーチを募集している。年々増加している子どもクラスに加え、18年からは大人クラス、22年からは知的・発達障がいのある子どもたちを対象にした「にじいろくらす」を新たに創設するなど、あらゆる人がスポーツを楽しめる環境・機会を提供する事業を推進するなかでの新たな人材の募集だ。

 同法人のスポーツ事業部スクールグループの水上大輔課長は、「今回は例年より少し早いタイミングで募集を行なっています。これから就職先を決めようとしている学生もいると考えると、ひとつの選択肢として考えてもらえたら」と話す。

 子どもたちの成長に携われること、サッカーを通じた地域貢献ができることなどはやりがいのひとつ。実際、金井コーチも「大変だとは思ったことがないですし、楽しいです」と語る。
 マリノスサッカースクールに在籍するコーチのキャリアも様々。約40人のコーチングスタッフのなかには、金井コーチのようにプロの舞台で活躍した人だけでなく、他クラブの指導、大学や専門学校、一般企業での社会人経験を経て指導の道を歩んでいる人もおり、25年4月時点で20歳以上であれば、指導経験の有無だけでの判断はしないという。

「“プレーヤーズファースト”で物事を考えられること。あとはサッカーが楽しい、上手くなりたいっていう選手以上に向上心を持っている方が理想です。現時点で指導者ライセンスを有していることも望ましいですが、学生等まだ持っていない方もいると思うので、指導や資格取得のアドバイスも行ないます。とにかく“スクールコーチにチャレンジしたい”という熱い想いのある方は検討していただきたいです」(水上)

 応募締め切りは10月31日(必着)までとのこと。金井コーチは「地域にもっと根付くように広めていきたい気持ちでいっぱいなので、マリノスファミリーとして一緒に盛り上げていけたら嬉しいです」と呼び掛ける。

スクールコーチの募集詳細は

構成●サッカーダイジェスト編集部