マンション住民必読!やってはいけない「三大不要修繕」 と管理会社の「嘘の手口」

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ひび割れは問題ない

2.屋上防水

排水管の水漏れリスクと同様に、管理会社が「事故になる」と脅してくるのが屋上防水だ。

東京都にある築24年、50戸の中規模マンションで、管理組合の理事長を務める小川美樹さん(45歳・仮名)は、管理会社から「屋上防水にひび割れがあり、漏水の可能性があるため工事が必要」と言われた。

「管理会社から『調査レポート』という書類を見せられ、そのなかで屋上の状態がD判定(要工事)でした。修繕積立金は2000万円近くあったのですが、それを見た管理会社が『この際しっかり工事しましょう』と言って1200万円の見積もりを出してきたんです」

修繕積立金の半分以上を屋上防水に使ってしまうことに抵抗を感じた小川さんは、知人を通じて別の工事業者に見積もりを依頼。その結果、同様の工事を560万円で済ますことができたという。

「管理会社は必要性の低い工事を提案してくることがある」と語るのは株式会社スマート修繕代表取締役の豊田賢治郎氏だ。

「管理会社が出してくるレポートで、ひび割れしているような写真を見せられることがあります。しかし、実際は材質の特性によってそう見えるだけで、問題ないことがほとんど。屋上防水は重層構造になっているので、表面が多少剥げていても水漏れすることはありません」

外壁補修も要注意!

3.外壁補修

外壁補修もふっかけられやすい修繕工事だ。千葉県の築46年15階建てマンションで管理組合の理事を務める野上譲二さん(63歳・仮名)のケース。同マンションは管理会社の提案で、壁面4面のうち、外から見える2面を補修することにした。

「管理会社から『浮いているタイルがいくつもあり、いつ落下してもおかしくない。事故になったら管理組合の責任だ』と言われ、修繕工事を急かされました」

しかし、管理会社が提示した見積書には5400万円という数字が。1社からしか見積もりを取っていなかったことに違和感を覚えた野上さんは、地元の工事業者にも見積もりを依頼した。すると約3300万円で同様の工事ができたという。

工事業者は自分で選ぶ

管理会社は「タイルが落下したら危険」と言って修繕を迫るが、一級建築士でマンションコンサルタントの須藤桂一氏は「そのような事故はほとんどない」と言う。

国土交通省の発表によれば、タイルの落下による人身事故は全国で年間10件にも満たず、死亡事故に関しては過去に1度しかない。そしてタイルの落下事故のほとんどは、人通りの多い街中で起きています。

定期的に検査をして、必要な箇所のみ取り替えるだけで十分でしょう。まして壁面すべてを補修するような工事は、よほどのことがない限り不要と言えます」

ここまで紹介したケースは、いずれも管理会社が利ザヤ欲しさに高額な見積もりを提示したケースだ。幸い別の業者に工事を依頼することで、金額を抑えることができたが、多くのマンションでは、管理会社の言われるがまま、喰い物にされてしまっている。

では、具体的にどのようにして“予防”すればいいのだろうか。マンションコンサルタントの別所毅謙氏はこう解説する。

「なにより大切なのは、管理会社にすべてを任せないことです。業者の選定まで管理会社に依頼すると、身内の業者に割高な発注をして好き放題におカネを使われてしまう。実際の決定権は管理組合の理事会が有していますから、多少面倒でも管理組合が業者を探すのがいいでしょう。そうするだけでムダなコストをかなり抑えられるはずです」

面倒だからお任せしよう-そうやって無関心でいると、いつの間にか自分の大切なおカネを管理会社にむしり取られてしまいかねないのだ。

週刊現代』2024年9月28日号より

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