WordPressを開発する企業「Automattic」が、WordPress特化のホスティングサービス「WP Engine」のWordPressエコシステムへのただ乗りを批判している問題において、AutomatticがWP Engineに商標使用停止命令書を送付したのにつづき、「WP Engineからwordpress.orgへのアクセスをブロックする」と発表しました。

WP Engine is banned from WordPress.org - WordPress News

https://wordpress.org/news/2024/09/wp-engine-banned/

WPE & Trademarks | Matt Mullenweg

https://ma.tt/2024/09/wordpress-engine/



WordPressはオープンソースのコンテンツ管理システムで、2003年に登場して以来多くのユーザーの人気を集め、2024年時点ではウェブサイトの40%以上がWordPressによって作成されていると推測されています。WordPressを開発したマット・マレンウェッグ氏率いるAutomatticを始め、多くの企業がWordPressのホスティングサービスで収益を上げてきました。

2024年9月21日、WordPressは公式サイトでWordPressをホスティングするサービスの一つ「WP Engine」を名指しで批判。Automatticと同等の収益を上げながら、WordPressの開発に100分の1程度しか貢献していないと述べました。

AutomatticのCEO兼WordPressの開発者のマット・マレンウェッグ氏がWP Engineを「WordPressの癌(がん)である」と痛烈に批判 - GIGAZINE



WP Engineは「批判は不当で虚偽」として発言の撤回を求めましたが、AutomatticはさらにWordPress商標の使用停止命令書を送付。「消費者にWP EngineがWordPressと同義であると誤解させている」と訴えました。

WordPress開発元のAutomatticがWordPress商標の使用停止命令書をWP Engineに送付 - GIGAZINE



2024年9月25日、WordPressは公式サイトにおいて、「WP Engineからのwordpress.orgへのアクセスをブロックする」と発表しました。ブロックによって、wordpress.orgで提供されているプラグインやテーマが利用できなくなったほか、脆弱(ぜいじゃく)性を修正するアップデートなどを受けられなくなります。

WordPressは発表において、「WP EngineはWordPressのコードを改変してWP Engineが思い描くユーザー体験を提供する模倣品で利益を得る自由がある」としつつ、「WP EngineがWordPress体験をコントロールしたいのなら独自のユーザーログインシステム、更新サーバー、プラグインディレクトリ、テーマディレクトリ、パターンディレクトリ、ブロックディレクトリ、翻訳、写真ディレクトリ、求人掲示板、ミートアップ、カンファレンス、バグトラッカー、フォーラム、Slack、Ping-o-matic、ショーケースを実行する必要がある」と述べ、こうした機能を提供するwordpress.orgへのアクセスをブロックすると述べました。

発表では「サイトが壊れたユーザーはWP Engineに直してもらって」など、サポートの責任はWP Engineにあることを明確化するような文言も書かれています。

マレンウェッグ氏は一連の騒動について、「オープンソースプロジェクトで大金を稼いでいる企業は還元するべきであり、しないのであれば商標を使用するべきではない」と述べてオープンソースプロジェクトへのただ乗りを批判しました。