人生の折り返し地点でもある「40代」。ふとしたときに、心の中に不安が広がることも。Voicyの人気パーソナリティ・尾石晴さんによると、じつは40代からは新たな自分を見つけるチャンスでもあるそう。ここでは、年齢を重ねて、尾石さんが見直した「身のまわりのもの」や「習慣」をご紹介します。

40代は人生のゴールの折り返しだと思うと怖かった

数年前、40歳になるのが少し怖かった。なぜ怖かったのか。振り返ってみると、人生を80年とした場合、40歳を境に折り返してしまえば、そこから先に見えるのは人生のゴールという名の死に向かう一本道だけ。その感覚が怖かったのだと思う。

上り坂から下り坂への転換地点としての40歳。そこにたどり着いたら最後、今まで歩いてきた道とは異なる景色が見えることを想像していた。今までは人生の終わりなど考えてなかった道、これからは人生を折り畳んでいく道。一度踏み込んだら、もうあと戻りできないという不安。

しかし、いざ40歳が来て、いったん折り返してしまえば、意外とすんなり歩き出せた。むしろ、40歳まで上ってきた坂道を、少し余裕をもって振り返ることもできている。

アラサー(30歳前後)、ミドサー(35歳前後)、アラフォー(40歳前後)、ミドフォー(45歳前後)、アラフィフ(50歳前後)。出世魚のように、この年代の人は5歳刻みで少しずつ階級移行していく。

私は、この春に43歳になった。もはや立派なミドフォーだ。つい先日まで、当たり前のようにアラフォーと名乗っていたのに、あっという間の階級移行。時間というのは万人の背中を均等な力で押していて、気づけば、ところてんのようにするっと次のステージに押し出されていた。

5歳刻みの段階で自分を「見直す」

この5歳刻みの段階は、自分を見直すいいタイミングのサインだと思う。ミドサーあたりから、私は少しずつ、年齢による変化を自分事として感じるようになっていった。

ネガティブな意味ではなく、万人に訪れる身体的変化として、髪の毛に白いものが少しずつ増えていくし、一度太るとやせにくくなるし、調子にのってお酒を飲むと次の日の朝まで残りやすくなる。

アラサーよりミドサー、ミドサーよりアラフォーで身体的な「これまでと違う」は増えていく。これは、歳を重ねているサインなのだ。

昔似合っていたはずの洋服は、だんだんとしっくりこなくなるし、メイクもなぜか古くなる。いや、メイクが古いというより、自らの情報やモノの新陳代謝が衰えてくるのだ。

そのため、気を抜くと、5年前に購入したアイシャドウがいまだに現役で、メイクも変わらずということがある。洋服も定期的に買い替える習慣がない限り、クローゼットに居座り続ける。だんだんと家のにおいと自分のにおいが染みつくが、食品と違って、洋服は腐ってくれない。腐らないので、ずっとそこにある。当たり前にあり続けるので、見慣れてくる。見慣れると、繊維の毛羽立ちやデザインの古さなどに気づかなくなる。

メイクや洋服…チェックする項目を決める

年齢というのは数字では表せる。けれど、その変化を具体的に察しようと思うなら、注意深く耳を傾けないと難しい。そこで、呼び名の変わる5歳刻みの段階では、意識的にチェックしてみる。

自覚しやすい年代の変化が訪れたときに、必ずチェックする項目を決める。

・メイクのやり方、髪型
・洋服、バッグ、靴
・生活スタイル

など、毎日、当たり前にやり続けてしまう、自分の“型”になってしまいやすい上記のこと。

そのメイク道具は一体いつ買ったのか? メイクはいつから変えてないか? もっている洋服の中で素材が毛羽立っているもの、においがするものはないか? バッグはくたびれていないか? 靴のかかとの減りや傷みは? 食べる量は? 寝る時間は? 運動量は? 健康診断は最後にいつ受けた?

とくに変化のサインが表れにくいもの、周りには気づかれていても自分では気づかなさそうなもの、これらを5年ごとに出して並べてみる。現状の棚卸しと引き算を客観的に行うのだ。

大切なことは、他人の目よりも「これからの自分」

大事な点がひとつある。この5歳刻みチェックは、他人からどう見られるかのためにやっているわけではない。階級移行の踊り場に立って、「これからの自分のため」に、今までのよきも悪しきも振り返るのだ。反省ではなく内省。モノや習慣を通したリフレクション。

私は、クローゼットを開けて、毛羽立っている洋服やにおいがついた洋服たちを見つけ処分した。化粧ポーチを開き、使っていなかったアイシャドウも処分した。そこには、すっと余白が生まれる。今までとは違うカラーを試そうかな、新しい気持ちの風が吹く。

これから、どのように自分に合わせたモノを選んでいくのかのリフレクションが始まる。自分の変化に、前向きに、歩みを合わせられるようになるのだ。