ガチのハリウッドのお墨付きのシネマカメラ、ソニーFX3を振り返る
以前、ギズモード・ジャパンでこのソニーのFX3を紹介してから早3年半。時が経つのは早いものです。こちらの記事の最後に「あっさり買っちゃうかも」とありますが、実は編集部として購入していました。いまYouTubeにアップロードされているギズモード・ジャパンの動画は、だいたいこのFX3で撮影されています。
この記事でFX3を振り返ろうと思った理由は2つ。
1つ目、後継機が出てもおかしくない時期だから。
2つ目、コンシューマー向けのシネマカメラとして珍しく、ハリウッドSF大作映画で使用されたから。
今回は編集部としてFX3を使い倒してのレビューをお届けします。
結局どうだったのFX3
FX3が発売されてから3年半ですが、いちカメラとしての寿命はかなり長いほう。それだけでこのFX3の発売時点での完成度の高さがうかがえます。
・フルサイズセンサーによる暗所性能の高さ・ソニーのカメラの特徴である手ぶれ補正とオートフォーカスの精度の高さ・動画機としての使用に特化したデザイン。・iPhone 15 Proよりも小さい面積。これらの点が、発売から3年たった今なお人気モデルの地位を保ち続けている理由でしょう。
映画撮影のように照明などのセッティングをしっかりと準備出来る現場から、何が起きるかわからない夜の音楽ライブの現場まで、どのようなシチュエーションでも対応できる機動力のあるシネマカメラは今の時点でもFX3くらいしかありません。
また、同じくソニーから発売されているマイクをケーブルレスで使えます。ソニーの機材のエコシステムの恩恵を受けることができます。
手のひらのカメラがついにハリウッドへ
そんなFX3ですが、去年公開された『ザ・クリエイター』というハリウッドSF映画のメインカメラにFX3が使用されているんです。(監督のギャレス・エドワーズ(『ローグ・ワン』、『ゴジラ (2014)』)は過去ギズでもインタビューさせていただきました)
これってかなり凄いことで、一般のハリウッド映画には数百万円クラス、もしくはレンタルしかできないシネマカメラ、例えばドイツのARRI社のALEXAシリーズや、ソニーのVENICEシリーズなどが使われることが多いです。
そんなカメラではなく、50万円のFX3がIMAXで上映されるクラスの映画のメインカメラとして使われるのは、いち映像制作者としてかなり衝撃的でした。
技術的な都合などから一部シーンは別のカメラを使用している部分もあるみたいですが、メイキングを見てみるとギャレス監督がFX3をDJIのジンバル、Ronin RS2にマウントして使っています。ギャレス監督曰く、「映像の色、暗い環境でも撮影出来るセンサー、軽さ」が決め手みたい。
自分の友人が本作の渋谷のロケ撮影に参加していたのですが、深夜の渋谷で本当に監督と最低限のクルーで撮影をしていたそうです。
ポケットに納まるサイズのカメラでハリウッド映画が撮れてしまう。これって凄い夢のあることだと思いませんか。
もちろん、CGを担当した会社がかのスターウォーズを作り続けているILMという世界最高峰のスタジオなので、みんながみんな、FX3を使えば『ザ・クリエイター』を制作することができるというわけではないのですが、それでもFX3で撮影された映像がIMAXなどの大型スクリーンの映像として受け入れられたというのは特筆すべき事実でしょう。