服部 信孝、岩田 想受賞!武田科学振興財団「武田医学賞」

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公益財団法人 武田科学振興財団は、2024年度「武田医学賞」を下記の2氏に贈呈することを決定しました。

 

公益財団法人 武田科学振興財団「武田医学賞」

 

公益財団法人 武田科学振興財団は、2024年度「武田医学賞」を下記の2氏に贈呈することを決定。

 

贈呈式を2024年11月12日(火)午後6時よりオークラ東京において開催し、受賞者には賞状、賞牌、楯ならびに1件につき副賞3,000万円を贈呈します。

武田医学賞は、我が国で最も伝統のある医学賞の一つであり、医学界で顕著な業績を挙げ、医学ならびに医療に優れた貢献を果たされた研究者に贈呈されます。

1954年に武田薬品工業株式会社の創業170周年記念事業の一つとして設けられ、1963年の同財団設立とともに財団事業として継承され、本年度で創設70周年を迎えます。

武田医学賞の受賞者数は、本年度を含めて141名となります。

■服部 信孝 博士(はっとり のぶたか)

順天堂大学 主任教授(65歳)

受賞テーマ:遺伝子解析を基盤としたパーキンソン病の発症機構解明

■岩田 想 博士(いわた そう)

京都大学 教授(61歳)

受賞テーマ:医学・薬学に資する膜蛋白質の三次元構造ならびに時間分解を加えた四次元構造解析の研究

 

2024年度武田医学賞 服部 信孝 博士

2024年度武田医学賞 岩田 想 博士

■服部 信孝 博士

<学歴・職歴>

1985年3月 順天堂大学医学部卒業

1985年5月 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科

臨床研修医及び専攻生

1990年4月 順天堂大学大学院医学研究科 博士課程 入学

8月 名古屋大学医学部生化学第二 国内留学

〜1993年8月まで

1994年3月 順天堂大学大学院医学研究科 博士課程 修了

順天堂大学にて医学博士の学位授与

1995年4月 順天堂大学医学部神経学講座 助手

1999年7月 順天堂大学医学部神経学講座 臨床講師

2000年8月 順天堂大学大学院医学研究科老人性疾患病態治療研究センター

専任講師

9月 順天堂大学医学部神経学講座 講師併任

2003年5月 順天堂大学医学部神経学講座 助教授

2006年7月 順天堂大学医学部神経学講座 教授

2019年4月〜2024年3月 順天堂大学医学部長・大学院医学研究科長 併任

2020年10月 理化学研究所脳神経科学研究センター神経変性疾患連携研究チーム

チームリーダー 併任

2024年4月 順天堂大学学長補佐 併任

現在に至る

<受賞歴>

2001年度 順天堂大学同窓会学術奨励賞

2001年度 財団法人長寿科学振興財団理事長奨励賞

2001年度 第42回日本神経学会総会会長賞(金澤一郎会長)

2002年度 第39回ベルツ賞1等賞(テーマ:神経変性疾患の分子機構)

2003年度 日本神経学会賞

2004年度 Thomson Scientific社 Research Front Award(13部門16人)

2005年度 ESIの高被引用回数 (1996年-2006年でパーキンソン病部門世界第7位)

2012年度 文部科学大臣賞 科学技術賞 研究部門

2014年度 MDS-AOS: Yoshikuni Mizuno Lecture Award (Pattaya, Thailand)

2017年度 日本神経学会楢林賞

2022年度 MDS: C.David Marsden Lecture Award (Madrid, Spain)

2023年度 MDS: The HONORARY Membership Award (Copenhagen, Denmark),

U.S.National Academy of Medicine Healthy Longevity Global Grand Challenge (NAM-HLGC) Catalyst Award

2024年度 時実利彦記念賞

<研究業績>

受賞テーマ:遺伝子解析を基盤としたパーキンソン病の発症機構解明

服部 信孝博士は、パーキンソン病(PD)の研究において一貫して深遠な探求心を持ち続け、その成果は数多くの卓越した研究業績に結実している。

特に功績として挙げられるべきは、1998年に若年性パーキンソン病の原因遺伝子parkinの単離、2000年にparkinがユビキチン連結酵素であることの解明、2015年にミトコンドリア機能に関連する原因遺伝子CHCHD2の単離・同定、そして2020年にはリソソーム代謝系の補因子であるProsaposinに変異を持つ家系を見出したことである。

3種類もの原因遺伝子を同定したのは服部博士のグループだけであり、その業績は驚異的と言える。

機能解析では2000年にparkinがユビキチン連結酵素であることを明らかにしたことは、PD研究の視点を一変させ、病態解明において蛋白分解系へとシフトさせる契機となった。

近年では、服部博士はバイオマーカーにも注目し、PD発症の原因とされる異常α-Synucleinシードが血中にも存在することを証明した。

この手法により、血液検査によるPDの診断が可能となる新時代の幕開けを予感させている。

以上のように、服部博士はパーキンソン病研究を世界的にリードし、国際的な舞台でその卓越した活動を続けており、神経科学領域に多大な貢献をしている。

■岩田 想 博士

<学歴・職歴>

1986年3月 東京大学農学部卒業

1986年4月 東京大学大学院農学系研究科入学

1991年3月 同上 修了

1991年4月 文部省高エネルギー物理学研究所

日本学術振興会特別研究員-PD

1992年9月 ドイツ、マックスプランク生物物理学研究所

ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム 博士研究員

1996年6月 スウェーデン、ウプサラ大学生化学科 講師

1999年7月 スウェーデン、ウプサラ大学生化学科 教授

2000年3月 インペリアルカレッジロンドン生命科学科 教授(現在に至る)

2004年8月 ダイアモンド放射光実験施設 ダイアモンドフェロー 兼任

2005年1月 インペリアルカレッジロンドン 構造生物学センターディレクター

2005年9月 独立行政法人 科学技術振興機構

ERATO岩田ヒト膜受容体構造プロジェクト 研究統括

2005年9月 独立行政法人 理化学研究所ゲノム科学総合研究センター

客員主管研究員

2007年3月 京都大学大学院医学研究科分子細胞情報学 教授(現在に至る)

2012年6月 独立行政法人 理化学研究所放射光科学総合研究センター

利用技術開拓研究部門 SACLA利用技術開拓グループ

グループディレクター 兼任(現在に至る)

<受賞歴>

1998年 Svedberg Award

(Swedish Society for Biochemistry and Molecular Biology)

1999年 Lindbom Prize(Royal Swedish Academy of Sciences)

2007年 日本学術振興会賞(日本学術振興会)

2007年 日本学士院学術奨励賞(日本学士院)

2010年 The Gregori Aminoff prize in crystallography 2010

(Royal Swedish Academy of Sciences)

2012年 文部科学大臣表彰科学技術賞 (文部科学省)

2021年 小林賞(小林財団)

2023年 島津賞(島津科学技術振興財団)

<研究業績>

受賞テーマ:医学・薬学に資する膜蛋白質の三次元構造ならびに時間分解を加えた四次元構造解析の研究

医薬の半数以上が膜蛋白質をターゲットとしており、その立体構造は新しい治療法の開発や創薬などに必須の情報となっている。

岩田 想博士は、一貫して医学・薬学などに重要な膜蛋白質の構造生物研究を行ってきた。

初期には、呼吸鎖などの生体エネルギー生産に関係する超分子複合体の構造解析を行い、その分子機構を明らかにすることにより、ミトコンドリア病などの遺伝病の原因解明を行った。

その後技術開発にも取り組み、解析した受容体などの医学・薬学などに重要な膜蛋白質は25種類に及び、名実ともこの分野における世界的なリーダーの一人である。

さらに岩田博士は、日本のX線自由電子レーザーSACLAにおいて、可視レーザーを用いて結晶中で反応を開始させ、その後の構造変化を追跡するシステムを構築した。

創薬ターゲットである受容体は、複数の中間状態を経て活性化し、それらの構造を得られれば新しい創薬が可能になる。

岩田博士らは、バクテリオロドプシンそして光受容体ロドプシンにおける光照射後の蛋白質構造変化の直接観測に世界で初めて成功した。

このように、医学・薬学に資する新しい機能性蛋白質や化合物を設計することを可能にする新しい学術領域を開拓した。

■FAQ

Q. 候補対象者について

A. 日本国内で主な業績を有し、医学の基礎および臨床の分野で顕著な業績を挙げ、医学界に優れた貢献をされた研究者を対象としています。

国籍は問いません。

Q. 武田医学賞の選考方法について

A. 財団の理事、評議員、名誉顧問、武田医学賞受賞者ほか財団が定めた推薦者からの推薦をもとに、選考委員会で審議・決定します。

選考委員長は自治医科大学 永井 良三 学長にお願いしています。

その他の選考委員については公表しておりません。

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