Apple Watchなどのスマートウォッチには、心拍数や心電図の測定機能、加速度計、コンパス、電子決済などさまざまな機能が搭載されています。そんなスマートウォッチを「電流計」として使用する方法が、GitHubで紹介されています。

GitHub - jp3141/AppleWatchAmmeter: Turn your Apple Watch into an ammeter to measure DC currents

https://github.com/jp3141/AppleWatchAmmeter

A 3D-Printed Framework and Some Copper Wire Turns Your Smartwatch Into a Field-Expedient Ammeter - Hackster.io

https://www.hackster.io/news/a-3d-printed-framework-and-some-copper-wire-turns-your-smartwatch-into-a-field-expedient-ammeter-577cb394a6d4

Series 5以降のApple Watchやその他一部のスマートウォッチには、ナビゲージョン機能やジェスチャートラッキングの精度向上のために磁力計が搭載されています。この磁力計は磁界を測定しているため、単に方角(磁北)を知るだけでなくその他の用途にも応用できるとのこと。

GitHubユーザーのjp3141さんは、「Apple Watchに装着した部品にワイヤーを巻いてコイル状にして、感知する磁場を変化させることで電流を測定する」という方法を紹介しています。

Apple Watchやスマートウォッチで電流計を作るには、以下のような「コイルを巻き付けるための部品(コイルホルダー)」を3Dプリンターなどで作り、本体を中心にはめ込む必要があります。jp3141さんは部品を自作する人のために、3D CADソフト用のファイルフォーマット・STL形式のデータを配布しています。



コイル状のワイヤーに電流を流した際に生じる磁場は、コイルの巻き数と直径、そして電流の強さによって変化します。そのため、Apple Watchに巻き付けたコイルに電流を流していない時や、一定の値の電流を流した時の磁場がわかっていれば、コイルに流れる電流が変化したことを検出できるというわけです。

実際にコイルホルダーの中心にApple Watchをはめ込み、周囲にコイルを巻くとこんな感じ。巻いたコイルの先のむき出しになった部分に電流の端子を接続すれば、電流計として使用することができます。jp3141さんはデモンストレーションで、磁場などを測定できるApple Watch対応アプリ「Sensor-App」を使用していますが、知識さえあれば補正やオフセットを実行し、電流をアンペアで表示するアプリを簡単に作成できるとのこと。



今回jp3141さんが作成した電流計は、コイルに流れる電流が約10mA変化すると、Z軸の磁場が約1μT変化するとのこと。電流が流れていない(0A)の場合、Z軸の磁場は-25.62122μT。



1Aの電流が流れている場合、Z軸の磁場は86.77788μT。



逆方向に1Aの電流が流れている場合、Z軸の磁場は-138.15320μTとなりました。jp3141さんは、「読み取り値には多少のノイズがありますが、注意すれば10mA(1μT)単位の変化を識別できます」と述べました。なお、検出できるのは直流(DC)の電流のみであり、家庭用電源などに用いられる交流(AC)には対応していないとのことです。